表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/15

番外編短編・ガチャ

 放課後、クラスメイトの海子と一緒に「コインレストラン・佳味」へ向かっていた。


 そんな優花は女子高生。ずっとぼっちだったが、海子とは仲良くなり、一緒に帰る事が多い。どちらといえば明るく、クラスでも目立つタイプの海子だが、何となく気が合う。特に食の好みがあう。


「ここのハンバーガー美味しいんだよね」

「そうそう。ファストフードっぽくなくて。ちょっとペタンとしたパンが好き」

「わっかるー」


 二人がコインレストラン・佳味で売っているハンバーガーが特に好きだった。自動販売機で売られている手作りのハンバーガー。ファストフードのものと比べたら、別に本格的でもない。だが、そこが良い。


 このレストランが自動販売機しかない無人レストラン。昭和レトロな自動販売機ばかりのせいか、無機質な感じがしない。古い自動販売機は、人の想いなども宿っているのかも。優花はそんな事を考えながら、ハンバーガーを齧る。美味しくはないが、こうして放課後に友達と一緒に食べるのはピッタリな味。ちゃんと温かいし、小さな箱に入っているのも可愛い。


「あれ? ここにガチャなんてあった?」


 全部食べ終わってしまうと、海子は両替機の方を指差す。そこには見慣れないガチャがあった。昭和レトロデザインの缶バッジやチャームのガチャらしい。確かにデザイン的にはここにピッタリなガチャで見落としていた。


「へえ。ガチャ面白くない?」

「そっだねー。やってみるか」


 二人でガチャを回す。偶然か二人ともメロンソーダ柄の缶バッジが出た。


「すっごい偶然」

「受けるね」


 何がおかしいのか二人とも笑ってしまう。今はこんな二人の時間が楽しくて仕方がない。


 思えば海子と友達になる確率だって低いのかもしれない。偶然同じ時代、国籍、県、学校、クラスが全部合わないと友達になれなかった。そう思うとちょっとした奇跡? この缶バッジだって奇跡?


「明日のここ来ない?」

「いいね!」


 明日の約束もした。別にすごく美味しいハンバガーでもない。それでも二人で食べれば、何でも美味しい。


 メロンソーダ柄の缶バッジは、二人ともカバンにつけた。二人の見た目は典型的な令和の女子高生だが、ここだけは昭和レトロ。二人だけの放課後の時期を表しているみたいだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ