エピローグ
コインレストラン・佳味の店主の朝は早い。四時半には起き、五時には店へ向かう。
一番に店の自動販売機をチェックし、在庫を見る。そしてコーヒーとツナマヨのトーストサンドで一休み。頭の中では、今日一日のスケジュールを組み立て、これからするメンテナンスや弁当やうどん作りで頭がいっぱいだが。あとはうどんや蕎麦の容器の手洗いもある。最初は無人で楽出来そうと思っていたが、そんな甘い話はなかった。
熱々のツナマヨトーストサンドを楽しみながら、来客ノートを捲る。最近はこのノートの犯罪の告白も綴られていた事もあり、警察に押収されてしまった。この辺りでは滅多に犯罪はないが、ホストが客を騙していたという。なぜかこの店で警察を呼び、自首したそうだ。この店の何がそんな気にさせたのかは、疑問だが、無事に解決して良かったと思う。
その為に今は新しいノートを使っていたが、常連さんから熱いコメントもあり、店主の口元がにやける。引きこもりしていた女子高生がこの店をきっかけに学校に戻れたらしく、涙腺が崩壊しそうだ。この店をやっていて良かった。
確かに大変な事もあるが、人を騙すような虚業をするより店主は恵まれているだろう。
「よし、今日も一日頑張るぞ!」
窓の外から朝日が差し込んでいた。もう夜は明けたようだ。
ご覧いただきありがとうございます。これにて本編完結です。
参考
日本懐かし自販機大全 (タツミムック)
新・日本懐かし自販機大全