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黄昏時の学校で

「しまった…ノートを忘れてきたぞ…」


放課後に友達と遊んでから家に帰り、ランドセルから中身を出した時に彼は忘れ物をした事に気がついた。


「取りに行くしかないな…面倒くさいなぁ」


幸か不幸か、学校から家は近い。

母親に事情を話し彼は学校へと向かった。


西日が照らす校舎はしんと静まり返り、なんとも淋しい雰囲気だった。


誰もいない玄関を通り、靴を履き替える。

いつもの賑やかさとはかけ離れた静寂がむず痒い。

長い廊下を進み突き当たりの階段を目指す。


階段下の大鏡が目に映る。

玄関からの光が背に当たりまるで後光の様だ。

逆光で顔が見えない。


階段を登る。

自分の教室は3階の端だ。


階段を登る。

階段への明かりは小さい窓しかなく、薄暗い。


3階へ着いた。

廊下を進む。

オレンジに染まる世界は、暖かいような、それでいて誰も居なくって薄ら寒いような。

静まり返った世界に一人分の足音が高らかに響く。


教室へ着いた。

ガラリと戸を開けて中へ入ると、自分の席へと向かった。

引き出しからお目当ての物を取る。

さぁ、早く帰らないと。


廊下へ出ると、日が暮れたのかすっかり薄暗くなっていた。

さっきまでの明るさが嘘のよう。

まるで行きとは別の世界のようで

少し怖い。


歩き出す。


高らかに響く足音。


コレは本当に自分の足音なのか?


怖くなって走り出す。


響く音。


足音が多くないか?


階段を駆け降りる。


階段は暗く、陰に沈んだ角はとても恐ろしく感じた。


一気に駆け降りて1階へ辿り着く。

玄関からはまだオレンジの光が差し込んでいた。


その光にホッとして息を吐く。

ふと気になって振り返ると


そこには黒い化け物が



居るはずもなく、あるのは階段下の大鏡。

有り得ざるモノなど何も映ってはいない。

そこに映る玄関のドアから差し込む光が気分を落ち着かせる。

彼は光へと向かった。


行きには写っていたものが帰りには写っていませんでした

なので見えてなかったものが見えています

彼はどっちに向かって行ったのでしょうか

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