教えないよ
__4月__
僕はあなたに恋をした。もっと一緒にいたいと思った。
恋を知らなかった僕にとって、あなたは僕のすべてだった。
1年もこの学校にいたのに、なんで先輩に気づけなかったんだろう。
__5月__
一緒の委員会に入れた。部活は違ったのがとても残念だった。
けれど水曜日の放課後は、図書委員の名目で、一緒に図書室に居れた。
その時間が、とても楽しかった。
__6月__
梅雨の日。傘を忘れた先輩を、僕が家まで送って行った。
先輩の家は遠くはなかったけど、緊張のせいで、手汗がすごかった。
先輩が最後に笑って、バイバイと手を振った姿が忘れられない。
__7月__
定期テスト。先輩は僕に勉強を教えてくれた。
順位は、下から数えた方が早かった僕だけど、先輩はキッチリと教えてくれた。
おかげで、20位以内に入れた。報告した時、先輩も喜んでいた。
__8月__
先輩の友達に誘われて、先輩たちとプールへ行った。ナイス友人。
初めて見た先輩の私服姿は、可愛すぎて直視できなかった。
その帰り際、今度は二人で行く約束を取り付けた。
__9月__
体育祭の期間に入った。同じ委員会に入っていたので、準備の時も一緒に入れた。
心臓が、色んな意味で死にそうだった。この気持ち、同じだったらいいのに。
__10月__
プールの時の約束で、2人で遊園地へ行った。
久しぶりの遊園地ではしゃいでいる先輩は、すごく可愛かった。
先輩に可愛いですねと伝えると、顔を真っ赤にして怒っていた。
__11月__
先輩の誕生日を、みんなで過ごした。
僕はその時、ネックレスを渡した。みんなに冷やかされて、恥ずかしかった。
だけど先輩は、ありがとうと笑ってそれを付けてくれた。
__12月__
クリスマスは、先輩と過ごした。
先輩は、誕生日プレゼントに渡したネックレスをしてくれた。
この日、人生の運を使い果たしたと本気で思った。
__1月__
初詣にみんなで行った。
僕は、『先輩とずっと一緒に入れますように』と願った。
先輩は、なんて願ったのだろうか。
__2月__
バレンタインデーに、図書室でチョコを貰った。
誰もいなかったので、嬉しすぎて、その場で食べてしまった。
食べ終わって先輩を見ると、隣で寝ていた。そんな先輩に僕は、キスをしたんだ。
先輩の唇は、柔らかかった。これは、先輩には内緒。
__3月__
先輩の卒業式に、僕は告白をした。
だけど、声で言うのは恥ずかしいから、『好きです』の4文字を書いた手紙を渡した。
すると先輩は、嬉しそうにもらって、教室に戻って行った。
途中、少し先輩からのコタエが怖くなって、教室を覗くと、先輩が僕の手紙を、破いていた。
笑いながら、破っていた。周りには、先輩たちの友達もいた。その人達も、笑っていた。
僕は怖くて逃げ出した。
ねえ、先輩は覚えてるのかな?
僕と仲が良かったこと。僕に勉強を教えてくれたこと。僕からの手紙を、破いたこと。
僕の言葉、覚えてないよね?
だから先輩に会ったら、言いたいことがあるんだ。
先輩、僕はあなたが_______。