誕生日SS 4
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桜太の誕生日のお話です。
桜太視点です。
春休みが明け、今日、俺は20歳になった。
そして、20歳を記念して、華道のお披露目会がまた開かれていた。
お披露目会が終わり、俺は挨拶を済ますと、彼女を探す。
彼女はすぐに見つかった。
「ロッテ」
「桜太、今日はお誘いありがとう!これ誕生日プレゼント」
ロッテは小さな袋を渡す。
開けてみるとそれはハンドクリームだった。
「桜太その魔法の手がいつでも綺麗でありますようにって願いを込めてこれにしました!」
「なんだよそれ、でもありがとうな」
普段、保湿ケアに頓着しない俺の手はガサガサだった。俺は早速そのハンドクリームを塗った。桜の香りが鼻腔をくすぐる。
「桜太の名前って桜の意味も込められているんでしょう?これは桜太の香りだ、と思って選んだの」
無邪気に、嬉しそうに笑う彼女につられて、俺も微笑んでしまう。
誕生日のお披露目会、自分から誘うのは気が引けたが、彼女とこうして過ごせるのは嬉しい。
「ロッテ、この後は空いてる?」
「勿論!桜太にお呼ばれしてもいいように、空けてたわよ」
自信たっぷりに彼女は言う。
「じゃあ、出かけよう。まだ、桜が綺麗なはずだ」
そう告げると彼女はぱあっと顔を明るくさせた。
支度を済ませ、俺たちは町に向かう。
「桜太、今年の目標は?」
目標。華道家としての目標は先程、お披露目会で話していた。彼女が尋ねているのは俺個人のものだろう。
「そうだな…自分の気持ちに正直になれるようにすることかな」
「例えば?」
「好きなものを好きって言えるように、かな」
彼女を見て、俺は笑う。
そんな俺を見て、彼女も笑う。
「私はいつだって自分に正直だよ!だから桜太は私を見習うといいわ!」
「そこまでのストレートな物言いは遠慮しとくわ」
そう告げると、彼女は不満そうに頬を膨らませ、文句を言ってくる。
誕生日という特別な日。
そんな一日を誰かと一緒に過ごせるのは嬉しいことだ。
桜の花びらが舞う並木道を彼女と歩きながら、俺は日常のささやかな幸せを感じていた。
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