誕生日SS 3
閲覧いただき、ありがとうございます。
愛の誕生日のお話です。
愛視点です。
今日は私の誕生日だ。
今回の誕生日はいつもより特別だ。
何故なら、大好きな彼と過ごす初めての誕生日だから。
今日はずっと憧れだった、好きな人とテーマパークに行くことを実現することが出来た。
こういう場所は、男性だと好き嫌い分かれると思ったけれど、彼は楽しそうで、私は安心した。
来年は私が留学に行ってしまうので、お互いの誕生日を一緒に過ごすことは出来ない。
そう思うと、今日という日がより貴重な時間に思えた。
この留学は自分で決めたこと。
それでも、あと少しで彼と離れると思うと寂しさが募った。
「どうした、待つの疲れたか?」
そんなことを考えると、彼が話しかけてくる。
アトラクションの待ち時間に疲れたと思った彼は私の口にポップコーンを入れた。
口の中にキャラメルの味が広がる。
「ん、あまい…」
「もう少しで順番だぞ。そうだ、この前ダウンロードしたアプリが結構面白くて…」
そう言って、彼は自分のスマートフォンを操作しだす。
彼のこのさりげない気遣いが嬉しかった。
私は愛しい気持ちが溢れ、甘えるように彼の腕に自分の腕を絡めた。
「海斗、今日一緒に過ごしてくれてありがとう」
そう言うと、彼は笑顔で応える。
「こちらこそ、大切な記念日に俺と一緒に過ごすことを選んでくれてありがとうな」
私は笑顔で頷く。
でも、心の中では、こうやって彼とスキンシップを取ったり、直接話すことがしばらく出来ないと思うと寂しかった。
夜になり、私達は童話の世界をモチーフにしているエリアに辿り着いた。
ライトアップされたエリアはとても幻想的で、童話の世界に迷い込んだみたいだ。
「愛、こっち来て」
彼は私の手を引き、庭園に連れて行った。
庭園は比較的人が少なく、辺りは静かだった。
大きな噴水のところで、立ち止まった彼は私の両手を自分の両手で包み込んだ。
「愛、お誕生日おめでとう。こうしてお前の誕生日を一緒に過ごせて、凄く嬉しい」
彼は片膝をつき、ポケットに入っていた箱を差し出す。
「これからしばらく遠距離になるけれど、お前のこと片時だって忘れない。お前の帰りを待ってるよ」
そう言って、彼は箱を開ける。
そこには、ペアリングが入っていた。
私は思わず、感動のあまり、口を手で覆う。
まるで童話に出てくる王子様のようだった。
心なしか彼の顔が赤い。
思わず、私は笑ってしまう。
バツの悪そうにする彼を見ながら、私は指輪を手に取り、右手の薬指に嵌め、彼に見せた。
「海斗、ありがとう。離れていても、ずっと一緒だよ」
おとぎ話のようなハッピーエンド。
でも、これは童話じゃない。
私達の物語はまだこれから続くのだ。
私は幸せを噛み締めながら、彼とキスをした。
こうして、私は夢のような誕生日を大好きな人と過ごすことが出来たのだった。
良ければ、評価、ブックマーク、コメント等よろしくお願いします。




