番外編5-2
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季々と雪之助のアフターストーリーです。
それから一年が経ち、今日は私と雪之助の結婚式だ。
あれから、従業員達に私達の関係を打ち明けると、漸くか、とみんなから言われた。
関係に気づいてたのか、と尋ねると、従業員達は呆れながら口々に言った。
どうやら、私が男性従業員や男性客と話している時、雪之助の目がとても鋭く、普段と違う表情をしていたらしい。
そして、私も雪之助を見かけると、いつも目で追っていたことから、周りは薄々感づいていたらしい。
私は居たたまれない気持ちでいっぱいになった。
「きーちゃん」
ノックの後、控え室に愛が入ってきた。
心の中で、自分が愛、と呼んでいることから、いつの間にか、彼女を盲信していた自分が居なくなっていたことに気がついた。
「愛ちゃん。今日は来てくれてありがとう」
愛は嬉しそうに微笑み、私のウェディングドレスを見て、目を輝かせる。
「きーちゃん、凄く綺麗。雪之助さんも見惚れちゃうかもね」
もしそうだとしたら、馬子にも衣装というものだろう。
「きーちゃんが幸せそうで、私も嬉しい」
愛は涙目で私の手を取る。
私も思わず涙目になるが、メイクが落ちてしまう、とぐっと堪えた。
「今日の主役はきーちゃんだよ。今日が二人にとって素敵なスタートになりますように」
愛は優しく微笑んだ。
彼女と出会ったあの日の自分では想像もつかなかった未来。
大好きな親友の愛が私の結婚を祝福している。私の幸せを嬉しそうな笑顔を見せて、喜んでくれている。
「ありがとう、愛ちゃん」
私は今までの感謝の気持ちを込めて、そう告げた。
ありがとう、私と出会ってくれて。
やっぱり、愛は私の女神だった。貴女と出会えたおかげで、私はこんなに幸せになった。
しばらく経ち、私は雪之助が待つ教会に足を運ぶ。
一歩、一歩、歩を進めて、扉が開く。
ヴェール越しに見える雪之助の嬉しそうな笑顔。
教会に佇むタキシード姿の雪之助はとても綺麗だった。
私は幸せを噛み締めながら、ヴァージンロードを歩く。
「季々ちゃん、凄く綺麗だよ」
誓いの言葉を終え、ヴェールを外して、雪之助が告げる。
「雪之助さんもとても素敵です」
お互い褒めあっているのが、なんだかおかしくて、二人で笑い合う。
「季々。君が好きだ」
呼び捨てにされ、ドキッとする。
そして、優しいキスをされ、周りから祝福の声と拍手喝采が訪れる。
こうして、私は雪之助の妻となり、また新たなスタートを切ったのだった。
背景がヒロインを死亡フラグから守ろうとしたら、こんな幸せが訪れました。
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