表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/59

4

閲覧いただき、ありがとうございます。

いよいよ、彼女との初デート。

行き先は大学近くのSNSで話題のオシャレなレストラン。味や内装だけではなく、料理の盛り付けにもこだわり、女子に人気そうなレストランだった。


「えへへ、大学生になったら、友達とこういうところ来るの夢だったんだ」


そう嬉しそうに顔を綻ばせる彼女。

私が出来ることなら何でも叶えてあげると言いそうになる。


「これから四年間あるんだから、色んなところ行けるといいね」


「うん!きーちゃん、また付き合ってくれる?」


首を傾げ、お願いする彼女のあざとい可愛さに内心悶絶しながらも、勿論、と笑顔で答えた。


彼女の頼むものは全て女性らしい、可愛いものだった。

クリーム系のパスタとアールグレイのティーラテ。

デザートは苺のタルトを頼んでいた。


飲み物をはじめ、一品一品来るごとに目を輝かせながら、写真を撮る彼女。

私は食べ物の写真を撮りながら、こっそり彼女の写真を撮った。後で現像は必須だ。


「ねぇ、きーちゃんは彼氏いる?」


デザートを食べ終わる頃、彼女は唐突にそんな話を持ち出した。急な話題に私は食べていた野菜ケーキを喉に詰まらせそうになる。


「い、いないよ。愛ちゃんはいるの?」


その質問に彼女は急に照れたような顔をし、俯く。私の心は次第に冷えていく。


「私もいないよ…でも、好きな人はいるんだ」


心を抉れるとはまさにこのことだろう。

氷の冷たい刃で私の心は抉られた。

泣きたい気持ちを堪えて、話を聞く。


悲しいが、彼女の恋話を聞けるのは嬉しい。それだけ、親交が深まった証拠だから。


「誰?もしかして、桜太?」


そう尋ねると彼女は首を大きく振る。

なるほど、桜太ルートではないのか。それでは、事故死の確率は少し下がる。

事故死が一番読めず、未然に防げる自信がなかったので、少し安心だ。

確か、春森家のファンが暴動を起こしたりと規模が大きい死亡フラグもあったはずだ。


「きーちゃんは、まだ会ったことない人だけれど、この大学の人で…経済学部の夏川海斗って人。高校時代の先輩なんだ」


安心感が一気に薄らぐ。

攻略対象の内で最もヤンデレ化率の高い海斗ルートに入っているのか、と思うと少しげんなりした。


写真を見せてもらうと、仲睦まじく映る二人の姿があった。

友人としては見られない恋する表情に私は嫉妬した。


「…凄く素敵な写真!お似合いだわ」


私は自分の醜い嫉妬心をひた隠しにして、笑顔で応える。

その言葉に彼女は少し恥ずかしそうに、はにかんだ。


「実は私、先輩に少しでも近づきたくて、この大学に入ったんだ…動機が不純だけれど」


小さく舌を出して、彼女は告げる。


「私もそうだよ。同性の人だけど…とっても素敵な人で」


目の前にいる彼女とは言わずに、彼女との共通点を作る。

すると、彼女は嬉しそうに手を合わせた。


「そうなんだ。じゃあ、私達おそろいね」


そう告げる彼女に、私は少し寂しい気持ちを隠しながら肯定した。


彼女への気持ちは恋情ではないが、彼女の想いが他の誰かに向いていると思うと、どこか寂しい気持ちになった。


ここは乙女ゲームの世界なのだから、自分に気持ちを向けると言うのは、ほぼ不可能だろう。それに、私はそれを望んでいない。


その後は、しばらく彼女の恋愛相談に乗った。どうしたら、お付き合い出来るか、恋に悩む彼女はとてもいじらしくて可愛かった。


家に帰り、私は自分のノートにメモを付け加えた。


1.海斗のヤンデレ化を防ぐべく、円滑に2人のコミュニケーションが取れるように手伝う。


2.事故死を防ぐべく、ヒロインを1人にしない。


3.正体不明のストーカーから身を守るため、とにかくヒロインを1人にしない(2回目)


結論、とにかく私はヒロインの側にいて、転生者という名の守護者として彼女の側にいること。決して、不純な動機はない、うん。

良ければ、評価、ブックマーク、コメント等お待ちしております。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ