番外編1-3
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魔姫の番外編です。
紅葉に連れてこられたのは、女性が好みそうなオシャレなレストランだった。
紅葉の意外なチョイスに私は内心驚いた。
恋人や好きな人の好みなのだろうか。
そう考えると、私はちくりと胸が痛んだ。
「どうした?こういう店は好みじゃなかったか?」
「いえ。そのチョイスが紅葉さんのイメージと違ったので…」
私は思わず、思ったことをそのまま言ってしまった。
そんな私の言葉を聞いて、紅葉は小さく笑った。
「ああ。私は甘いものに目がなくてな。こういった店に一人でよく来るんだ。それに暗田くんのような女性が好みそうな雰囲気の店だしと思ってな」
そういえば、夏の旅行の時、甘いお菓子を好んで食べていたな。
意外な紅葉の一面に思わず笑ってしまう。
女性客しかいないレストランで一人紅葉が来ているのを想像すると違和感があった。
先程は大人びて見えたのに、今はとても身近な存在に感じた。
「そんなに変か?」
「いえ、紅葉さんの意外な一面が見れて嬉しくて」
そう言うと紅葉は少し恥ずかしそうに目を逸らした。
私達は他愛もない会話をしながら、夕食を食べ終えた。
会話をしながら、食事をしていたせいか、三時間もレストランに居座ってしまった。
「すまない。女性をこんなに遅くまで引き止めてしまって」
車に戻ると、紅葉は申し訳なさそうに告げる。
私は大きく首を振る。
「そんなことないです。紅葉さんとこんなに話したの初めてで、楽しかったです」
そう言うと、紅葉はまた顔を紅潮させる。
この人、朴念仁に見えて、表情が豊かだ。
「君、あんまりそういう思わせぶりな態度をするんじゃない。私だからいいものの、他の男にやったら勘違いするぞ」
もしかして、照れているのだろうか。
私は少し悪戯心が湧き、つい意地悪をしてしまう。
「他の男にはしませんよ」
つん、と紅葉の頬を人差し指で触れる。
指先から紅葉の熱が伝わる。
すると、紅葉は私の人差し指を優しく掴み、軽くキスをした。
「これは警告だ。あまり男を煽るんじゃない」
紅葉は真剣な表情で私を見つめる。
壊れ物を触るような優しい口づけに、今度は私が顔を赤らめる番だった。
お酒も飲んでいないのに、酔いが回ったような酩酊感に襲われそうになる。
紅葉はすぐに手を離し、運転を始めた。
紅葉は冷静さを保っているように見えたが、車窓に反射する恥ずかしそうな表情に気がついて、私は今まで感じたことのない感情を抱いた。
それから、私は紅葉が運転をしている間、高鳴る胸の鼓動を感じながら、時々街灯で露わになる紅葉の横顔を盗み見ていた。
「紅葉さん。今日のお礼に、今度奢らせてください。美味しいお菓子のあるカフェを知っているんです」
「奢らなくていい」
私は一瞬断られたと思い、内心ショックを受ける。
「君と行けるだけで充分お礼になる。来週の土曜日はどうだ?」
紅葉の言葉に私はぱっと表情を明るくし、頷いた。
二人の関係がゆっくりと進み始めた、そんな冬の日の出来事。
魔姫の番外編は終了です。
これからも、いくつか番外編を投稿する予定なので、お付き合いいただけると幸いです。
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