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オリエンテーションが終わった後、私はノートに前世の記憶を書き出したところ、彼女を1人にすると死亡フラグが立ちやすいと判断した私は徹底的に彼女の側にいることにした。決して私が彼女の側を離れたくて、それらしい理由を作った訳ではない。
今日は最初の講義だ。彼女と連絡を取り、私は彼女と全く同じ授業スケジュールで履修を済ませた。
彼女は高校と大学は違うから緊張すると言っていたが、私はそれよりも放課後のディナーに緊張していた。
服装はこれで良かっただろうか?口臭ケアも勿論バッチリ用意してきた。
講義開始直前、彼女の右隣の席に一人の男性が座った。
もう既に良からぬ虫がついたのかと、睨みを効かせると、男性は少し驚いたような様子を見せた。
「悪い、もしかして他の友達来る?」
その男性は少し申し訳なさそうに私達に尋ねる。可憐な彼女は空いてるよ、と席に留まるのを促した。
私も流石に過剰に反応してしまったと思い、急に人が来てびっくりしてしまった、と謝った。
男性は納得し、気にしてない、と言ってくれた。
この男性は攻略対象の一人で、彼女の幼なじみだ。仲良くしておかなければ、と私は内心思った。
「きーちゃん。この人、春森桜太。私の幼なじみなの」
彼女に紹介され、桜太はよろしく、と短くお辞儀をした。
「桜太。この子、位方季々ちゃん。私の友達なの」
私の友達という言葉に感動すると同時に、録音出来なかったことを少し悔やんだ。
私は感動を噛み締めながらも、ポーカーフェイスを装い、無難に挨拶をした。
桜太は一瞬眉を顰めたが、講義が始まり、私達は講義に集中し始めた。
彼女の綺麗な字と真剣な横顔に見惚れていたら、いつのまにか講義が終わっていた。
桜太が彼女にこの後の予定を聞いた。
すると、彼女は茶目っ気たっぷりな表情をして、私に腕を絡ませた。
「今日はきーちゃんとデートなの」
思わず教会の鐘が頭の中で響いた。
こんなに可愛く、隙があると正直不安になるが、これからもこの距離感でいてほしいと葛藤した。
「お前なぁ、距離感考えろよ。季々がびっくりしているじゃないか」
おい、桜太。余計なことを言うな。私はそれよりも君の呼び捨てにびっくりだ。まぁ、私も呼び捨てにしているんだが。
彼女がパッと腕を離し、喪失感に蝕まれた。
「あっ…ごめんなさい。いきなりびっくりしちゃうよね」
「ううん、私は気にしてないから大丈夫だよ。女子同士なんだし、これくらい普通じゃないかな?」
寧ろこれからもしてくれ、という意味合いを込めて、私は笑顔で言った。
彼女が嬉しそうにしている後ろで、桜太は訝しげな表情を浮かべていた。
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