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明日はいよいよ学園祭当日だ。
昼休み、彼女との話題は明日の学園祭で持ちきりだった。
彼女は明日、海斗に告白するらしい。
何度もデートを重ね、彼女の想いは次第に募っていった。
大学に伝わる「好きな人とプロジェクションマッピングを見たらその人との縁が永遠になる」というジンクスを信じている彼女。
そのプロジェクションマッピングで、どうやって告白しようかという作戦を私達は練っていた。
本当は男性の意見を聞きたかったが、生憎、桜太は学園祭の華道イベントに参加する為、多忙で来れなかった。
ふと、彼女は私をじっと見つめる。
私が首を傾げると、彼女は告げる。
「なんかきーちゃん変わったね」
「そう?」
「うん、前までは私を通して誰かを見ているような感じがしたけど、それがなくなった」
彼女は気づいていたのだ。
私が彼女をゲームのヒロインとして、見ていたことを。
目の前にいる彼女はゲームのヒロインと似て非なるもの。ちゃんと私の目の前に実在している一人の人間だ。
彼女はくすっと笑う。
「雪之助さんのお陰なのかな?前のきーちゃんも面白くて好きだけど、今の方が親友って感じがして、もっと好き」
「し、親友?」
彼女の言葉に思わず動揺してしまう。
こうもあっさり親友という言葉を出されると、どうしていいかわからない。
気恥ずかしさと嬉しさが込み上げてくる。
「違うの?私はとっくにそう思っていたけれど」
私は首を大きく振った。
そんな私を見て、彼女は笑う。
「私、ずっとこうやってみんなと過ごしていたい。それが私の幸せ。きーちゃん、私の友達になってくれてありがとう」
幸せそうに笑う彼女を見て、私は思わず泣きそうになった。
前世からの本当の悲願が叶った気がしたからだ。
きっと、原作の私も本当はこんな関係を築きたかったはずだ。
だけど、勇気がなくて、本当の彼女を見ずに、盲信し、崇拝したから、悲しい結末しか迎えることが出来なかった。
でも今は違う。同じ過ちは繰り返さない。
ライバルキャラもストーカーもヒロインの友達だし、攻略対象もヤンデレ化していない。
もうほとんどの死亡フラグは折れているのだ。
だから、今すべきことは、転生者の予備知識を使って、モブとしてヒロインの死亡フラグを折るのではない。
友人として、彼女の幸せを願うのだ。
それが彼女にとっても自分にとっても最善の幸せになる方法だったのだ。
転生者とか、モブ役とか関係ない。今ある世界を受け入れるべきだったのだ。
私一人では気づけなかった。
彼女が、雪之助が、みんながいたから気づけたこと。
学園祭当日、大学まで彼女と一緒に向かった私は笑顔で彼女を海斗の元へ送り出した。
無事、彼女の恋が実ることを願って。
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