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閲覧いただき、ありがとうございます。

今日で最後の期末試験も終わり、いよいよ夏休み。


「きーちゃん、桜太。この後って空いてたりする?」


私は即答する。例え予定が空いてなくても、彼女の為なら全力で開ける。

どうやら、桜太も空いてるらしく、彼女は両手を合わせて可愛らしくお願いのポーズを取ってみせた。


「お願い!今度のバイト先の旅行の時の服一緒に選んで欲しいの!」


2週間後、バイトの仲の良いメンバーで旅行に行くことになった。

勿論、海斗も参加する。彼女は男の目からも女の目からも受ける自分に合った格好を選んで欲しいのだろう。


「このために最近頑張ってバイト入ってたし、私服だけじゃなくて部屋着や水着も新調したくて」


「み、水着はお前達で決めてくれよ」


桜太は想像したのか、頬が赤い。

彼女の破廉恥な妄想をするのは許さない。

私も彼女の水着姿を想像しかけたが、同性同士だ問題ない。


それから、様々なお店を見て回ったが、元々彼女のセンスは良い。


桜太と私は全てに対して賛同してしまった為、彼女を少し拗ねさせてしまった。

拗ねた彼女も可愛いのだが。


粗方、目ぼしいものは全て買い終え、近くのカフェで一息つく。


「本当にお前達のバイト先、仲が良いよな。俺もそこで働けばよかった」


桜太はファストフード店でアルバイトをしている。桜太は巷では有名な華道家の為、シフトがフレキシブルに動かせるバイト先を選んだらしい。


「確かに、桜太がいたらもっと楽しいかも」


彼女はそう言って、楽しそうに笑う。

私は彼女が楽しそうであれば、何でも構わない。


「この前のお披露目会も桜太、凄く格好良かったよ」


彼女にそう言われ、桜太は照れたようにはにかんだ。


このゲームは、それぞれのキャラの季節に限定イベントが発生する。


桜太は春の華道家としてのお披露目会、海斗は次に行く旅行内のプール、紅葉は高台でのピクニック、雪之助は実家が経営する旅館でのお泊りだったはずだ。


海斗ルートに入っているはずだが、桜太の限定イベントも発生したということは桜太はある程度彼女に好感を持っているのだろう。


そして、私は気がつく。もし、桜太が彼女のことを好きならば、別の男の為に一生懸命服選びに付き合うのはかなり辛いのではないだろうか。それに桜太はこの旅行に参加できない。


彼女が席を外した隙に桜太にこっそり尋ねる。


「ねぇ、桜太。大丈夫?」


桜太はきょとんとする。

私は小声で話す。


「桜太、もしかして愛ちゃんのこと気になってるのかなって」


そういえば、この前もこんな話をしたな。その時は立場が逆だったが。

尋ねると、桜太は顔を少し紅潮させた。


「はぁ?なんだよそれ。確かに俺は愛のこと好きだけど、家族みたいなものだ。俺とあいつはこれからも幼なじみだよ。それは変わらない」


桜太の自分に言い聞かせるような言葉の真意に私は気がつかないふりをした。


「そっか。私は愛ちゃんが幸せになるのが最優先事項だけど、桜太の幸せも願ってるよ」


そう言うと、桜太は笑う。


「お前らしい励まし方だな。ありがとな」


桜太も私の意図に気づいたのか、私の頭を撫でた。


雪之助に撫でられた時は心臓の鼓動が鳴り止まなかったが、桜太の時は少しびっくりしただけだった。


慣れたのだろうか?こんなことには慣れたくないが。


それにしても、このゲーム内の男達スキンシップ激しいな。


それから、彼女と桜太と私は夏休みにドライブに行くことを計画して、明日から始まる夏休みに心を躍らせながら、前世の記憶をメモしたノートを振り返る。


ゲームが開始して、約3ヶ月。事故死バッドエンドやヤンデレバッドエンドやライバルキャラバッドエンドも無事に回避出来てるし、結構上出来じゃないか?


それに、ストーカーも出てくる気配がない!

このゲームの最大の死亡フラグはストーカーによるバッドエンドだ。

ストーカーバッドエンドが本当に桁違いに多いのだ。慣れない時は攻略対象よりも、黒づくめのストーカーとご対面する方が多いほど。


こんなに順調だと少し怖い気もするが、もしかしたら、この世界は乙女ゲームに酷似しているだけで、完全一致しているわけではないのかも、と私は希望的観測をしながら、その日を終えたのだった。

良ければ、評価、ブックマーク、コメント等宜しくお願いします。

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