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捜索


 法廷を出て直ぐに俺は皆にデスワードについて話しておかなければならない。デスワードを早々と使われると考える時間がなくなり死を免れなくなる。折角夢で済んでいるのに回避不可能になっては溜まったものではない。


 「気付いたので先に言っておきたい。恐らく悪魔に通用しないワードがある。俺はそれをデスワードと呼ぶことにした。今のところ分かっているデスワードは『自由』と『愛』だ。どうも悪魔たちはデスワードを使うと狂暴になる様なので、デスワードを使うのは控えてほしい」


 全員が振り返り俺の顔を見る。皆の表情はサホでさえも眉を寄せており不快感を隠す事はなかった。

 ベルフェゴールが言った『お前らは立派な悪魔になれる』が響いているらしい。俺たちは三度、社会を否定してそれでも間違っているとは思えない事がベルフェゴールの言葉を否定できない要因だ。




 法廷を出ても誰も話をしようとしない。

 俺は何も答えられない。言いたいことはあるが、言えない。夢で死を経験している俺と死を他人事としか捉えていない俺以外、その違いを言いたい。しかしそれは悪魔側と疑われかねない事だ。


 「そ、それは悪魔とのやり取りでなんとなく分かる。問題はこのまま進めていいのかという事だよ。このままでは悪魔に騙され続けるだけなんじゃないか?」


 クラトが感情を露に言うが、誰にもどうすればいいかなんて分からない。

 そんな気持ちの整理がつかない状態で無理にあれこれ考えるのは難しいかもしれないが次の裁判までの時間がどれだけあるか分からない。やるべき事をやった後で悩めばいい。何もしないという選択肢は後でしとけば良かったという後悔しか生まない。

 暫くの沈黙があってサホが口を挟む。


 「『罪を憎んで人を憎まず』って言葉があるけど、被告人たちを無罪にして人を憎む事をせずその原因を追究しているって考えると、悪魔に騙されているとは思えないって考える事が出来るのではないかしら?」


 「イイ事言うねサホ。しかし、サホは人がよすぎるからねー。少しは人を疑うことを覚えた方がいいよ。ここにはサホを狙う狼がいるよー」


 レナは悪魔を疑う前に俺を疑っている。その言葉で全員からの視線がより一層冷たいものとなった。


 「悪魔に~なっても別に構わないけど~下っ端とかは流石に嫌よね~。七つの大罪の悪魔クラスとは言わなくても~高い地位は欲しいよね~」


 ルミが嫌味を言ってきた。ルミの事だから本気かもしれないが『悪魔になってもいいのかよ』とか『下っ端は確かに嫌だな』とか軽口が言えるような状況でもないし、誰も言わないし言ってくれない。

 夢で裁判の展開を知ることが出来るのは有用だが、そこまで便利かと言われるとそうでもない。高々夢だし、下手をすれば悪魔扱いされる。夢から覚めるのは決まって裁判直前であり、知識を詰め込む時間はなく悪魔に抗う力とは言い難い。


 「もぅ疲れた。一人になりたい」


 沈黙に耐えかねたユウナが根を上げる。

この場でなにか言わないといけない気がするがなにも言えない。裁判の時の様に無駄に時間稼ぎをしては返って不審がられるだけだ。そうしているうちにユウナが自室へと向かっていき、それに続いて他の人もそれぞれの居場所に戻っていった。


 一人残された俺は、気を落ち着かせるために自販機もどきでコーヒーを入手して自室に戻った。




 自室にてコーヒーを飲みながらいろいろと考えてみることにした。


 俺はたとえ悪魔になったとしても死を回避し続ける。夢か現実か、実際のところ分からないが、もし死ぬ事なく夢を繰り返すとするなら、死を回避しなければ悪魔に殺され続けるという地獄が続くだけだ。……いや、考えるのは止そう。それを考えるのは無意味だ。どうして俺だけが繰り返すかなんて考えても解らない。他の人だって演技がうまくて見抜けないだけで繰り返している可能性がない訳ではない。


 ここで改めて愛について考えてみる。

自分は親の愛情を受けて育ったと思っている。

だが、悪魔たちの言う通り、親子の間に愛はない……そう思えるニュースを目にする事がある。自分の子供を殺す親の事件などだ。

これまでは『そういう人』としか考えなかったが、『罪を憎んで人を憎まず』と考えるなら『そのような状態』だったと考えるべきなのだろう。それは『そのような状態』だったとするなら誰にでも起きうる事だ。

自分の親が『そのような状態』でなかったから偶々殺されなかっただけの話だ。

いや、身を挺して子を助ける親もいる。『そのような状態』にならなければ愛はあるのか?

もともと愛があるとするなら『そのような状態』を作る社会とはなんなのか?  そんな愛のない社会を作る者に愛があるといえるのか?

 だが、そもそも愛とはなんなのか?  分からない。分からないのは俺が悪魔になりつつあるからか?  俺こそが悪魔だからか?


 俺は死を回避するために社会を否定するつもりではあったが『自由』や『愛』といった常識まで否定するつもりはなかった。なのになぜこうなった?  皆との距離を感じる。

 それでもサホは俺を信じてくれているようだし、サホを中心に纏まってくれればいい。

 そろそろ考えを切り替えて情報収集を行わないといけない。しかし、悪魔はなにを考える?  俺を悪魔にする事か?  俺を殺す事か?  俺を孤独にする事か?  分からない事が多すぎる。

 そして、社会はなぜこんなにも歪なんだ。いつから?  誰が?  なぜこんな社会になった?  分からない事が多すぎる。絶望する事が多すぎる。




 離婚や不倫は一部の人だけ?

残念ながら、少なくとも健康で適齢期の男の体は、約一週間間隔で性処理を行わなければならないのです。

だからといって不倫や、ましては、レイプなどしていいはずがはありません。性処理はオナニーでも構わないのです。というかオナニー推奨です。

ですが現在はオナニーは負け組という認識を持っておられる様に感じます。


 ですがその様な心配は不要なのです。なにせ結婚が必要ありませんから。

結婚がなくなり子育てする必要もなくなれば、女性の活躍できる社会は簡単に実現するでしょう。

その為には教育でオナニーを教える必要があります。


 性に興味を持たなくなったらどうする?

何も気にする事はありません。仕事にすればいいのですよ。一生に一度程度の頻度で子作りをする仕事。「LGBTそんな事は知らん仕事しろ」で「LGBTは生産性がない」は無意味になります。

子作りに愛などという感情は不要なのです。


 鬼、悪魔、人でなし?  有難う御座います。最高の誉め言葉です。

ですが、愛と言う感情が蔓延る様では社会は成り立たちません。社会はシステムなのです。

いいですか、感情では社会は成り立たないのです。発展途上国を見れは一目瞭然です。


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