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スケベ大魔王

作者: 猪子馬七

エブリスタで開催された別冊フレンド原作賞用の短編です。落選したのでこちらでも投稿


私、女子中学生のウメ子は悩んでいた。


「おはよースケベ大魔王!」


「今日はいい天気だね、スケベ大魔王!」


「あ、宿題忘れた!ちょっとノート写させて、スケベ大魔王!」


…何故か私はスケベ大魔王という、あだ名で呼ばれていた。原因はわからない。だが、クラスメイトからはスケベ大魔王と呼ばれている。

更には…。


「よーし、出席を取るぞ!相沢、太田、加藤、川崎、小林、スケベ大魔王、鈴木…」


担任の教師からも容赦無く、あだ名で呼ばれていた。幾ら何でも酷過ぎるのでは無いだろうか?


本来であればイジメ問題として、PTAが大騒ぎする案件である。それが生徒だけならいざ知らず、教師までもがスケベ大魔王呼ばわりだ。余りにも酷い。


いつからスケベ大魔王呼ばわりされる様になったかと言うと、中学二年生の夏休み明けの事である。

同じクラスの仲のいい女の子から、一ヶ月ぶりの挨拶としてスケベ大魔王呼ばわり。

最初は悪質な冗談かと思ったが、担任までもがスケベ大魔王呼ばわりするのだから、これは異常だと改めて気付かされた。


原因は何なのか?


まず、考えられるのがイジメだ。誰かが私を陥れるために、悪質な嫌がらせを展開している可能性。

しかし、自分のクラスのみならず、他のクラスの生徒もスケベ大魔王呼ばわりしてくるのだ。そして担任や他の教師も。ただのイジメとしては規模が大き過ぎる。


次に考えられるのが、ドッキリだ。文化祭の出し物としてドッキリ映画を製作し、皆んなからスケベ大魔王呼ばわりされている可能性も考えてみた。

しかし、スケベ大魔王呼ばわりされる様になってから、既に三ヶ月が経過している。文化祭も先日、何事も無く無事に終了した。つまり、ドッキリなどでは無い。


最後に考えられるのが夢オチ。私が三ヶ月以上もの間、スケベ大魔王呼ばわりされる悪夢だったと、そんな夢オチ。

でも、どれだけ頬っぺたをつねっても激痛が走るだけ。悔しいけど現実じゃん。


そう、現実。何もしていない私がスケベ大魔王呼ばわりされる、目を背けたくなる現実。

私が一体、何をしたと言うのだろうか?


唯一、思い当たる節があるとすれば…夏休みの時、河川敷を散歩してる時にアダルトビデオが落ちているのを発見した事だろうか?

タイトルは確か…「オゲレツ!オッパイ星人の襲来!!」。横目でチラリと見ただけだったが、そんなタイトルだった筈。そう、横目でチラリと見ただけなのだ。

拾ったわけでも無いし、触る事すらしていない。そして夏休み明けからスケベ大魔王呼ばわり。


…やはり一向に原因が掴めない。



そんな私が一人、トボトボと下校中。哀愁ただよう私の後ろ姿に声をかけてくれたのは、クラスで一番のイケメン、次郎君だった。


「あ、スケベ大魔王!今、帰るのか?」


イケメンからスケベ大魔王呼ばわり。一体、私に何の恨みがあるのだろうか?


「あ、うん。次郎君もこれから帰宅?」


「ああ、今日は部活が休みだからね。それより、どうした?最近、元気無いじゃん。悩みがあるなら言ってみろよ!後ろ姿の哀愁が半端ないぜ!」


何故、私がスケベ大魔王呼ばわりされるのか?友人に聞いても、はぐらかされるだけで一向に私が望む答えは返ってこない。

それでも次郎君に聞いてみた。何故、突然皆んなが私をスケベ大魔王呼ばわりする様になったのか。

目に涙を浮かべて切実に問いただすが、次郎君は笑いながら受け流す。


「そんな事を気にしてたのかい?あだ名ぐらいで大袈裟な…」


「だから、そうやってはぐらかさないで!私は真剣に悩んでるの!何で寄ってたかって私の事をスケベ大魔王呼ばわりするのよ!私が一体、何をしたって言うのよ!」


「いや、何かしたって言うよりも…何もしなかったからだと思うよ?」


「え?」


「おっと、口を滑らせたかな?」


「…どう言う事?」


「んーつまり、皆んなは別にスケベ大魔王の事を嫌ってる訳じゃないんだよ。寧ろスケベ大魔王の事を考えてくれてるって思えないかな?僕が言えるのはココまでだよ」


「……」


次郎君の発言によって、ずっと分からなかった謎がみるみると氷解した。


「そうか…なるほどね…合点がいったわ…」


かつて「超絶ドスケベ大魔王」と呼ばれていた私が、何故「スケベ大魔王」などと不名誉なあだ名で呼ばれる様になったのか?その合点がついに判明した。


夏休みのあの日、河川敷にて私は落ちていたアダルトビデオに対して、何もしなかった。余りにも汚れてたからね。

恐らくクラスの誰かがそれを目撃したのだろう。

そして私をスケベ大魔王と呼ぶ様に働きかけたのだ。授業中にいつも大声でエロトークをする私を、少しでも更正させようと、スケベ大魔王呼ばわりして。


フフフ…なんて浅ましい…。でもその程度の策に踊らされて、欲求不満に陥った私もおバカさんね。てっきり私のスケベ度が低下したと思ったじゃない。


この欲求不満、どうしてくれようかしら?下半身が先程からキュンキュン言ってるわ。次郎君、責任とってよね?そこの空き地の前に行ったら押し倒すから。うん、私はスケベ大魔王なんかじゃ無い。超絶ドスケベ大魔王だって事、身体で教えてあげるから!



fin

女子中学生、女子高校生が主役のキュンキュンする「学園恋愛部門」に応募して容赦無く落選しました。


とても個性的な作品だと自負してるのですがね。時代の先を行き過ぎたのでしょうか?

( ̄▽ ̄)

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