過去から未来
生徒の半分以上がしゃがみ込み口を押さえている。
中には泣き崩れる者もいる。
それだけ見れる映像ではなかったのだ。
けれどその中でも耐えた者はいた。
根津と神楽と柚木だった。
「根津くん、神楽くん、そして…柚木くん、3人は大丈夫なのかな?」
氷河は3人を心配した。
あの映像を見てほとんどの生徒が倒れ込む中3人だけがその場に立ち尽くしていたからだ。
「…必死に耐えてるだけだ」
根津が呟く。
「…俺も」
続けて神楽も呟くと、あむが氷河に小さな声で問いかけた。
「今見た全ては先生が見た景色なんですか?」
身体を震わせ目には涙を溜め問いかける。
「あの場所にいたんですか?」
質問すると同時に流れた涙は両手で押さえても止まらない。
「…はい。あれは…全て私が見た景色です。私はあの場にいました。あの場所で私は能力を使い隠れていました。…君達が青年を見ていた位置でね。何もかも…。当時の私は10歳にも満たない子供でした。身を隠す事しか出来なかった。目の前で起こる惨劇に私は息を殺し潜める事しか…」
氷河の言葉にあむは泣き崩れた。
あむはあの映像を見ている中でずっと違和感を感じていた。
自分達から見える景色の目線が少し低いということに。
だからあむは氷河の言葉で納得できた。
「いずれ戦わなければならくなる相手だと思ってほしい。勿論君達だけでというわけじゃない。時間はある。この大学でより多くの事を学び、強くなって欲しい。いざという時、大切なものを護る為に…。4限の授業はこれで終わりにしよう。気分が悪い者は保健室に。動けない者は私が連れて行きます」
そう氷河は言うと4限の授業が終わり生徒の数人が保健室へと向かった。
泣き崩れていた生徒、口を押さえ倒れ込んでいた生徒が自らの足で歩いて向かっていた。
保健室に向かった数名以外の生徒は互いに肩を寄せて気持ちを落ち着かせた。
生徒全員が落ちつきを取り戻した頃、4限が終わるチャイムが鳴り響いた。
氷河は早めに授業を切り上げていたようだ。




