悪夢のような悲劇
辺り一帯が血の海と化す中でレッドクイーンは血を浴びながら満面の笑みを浮かべていた。
「あははっ綺麗ね。とっても綺麗!幸せ~」
腕についた血を舐めながらうっとりしていると生徒の方に目を向ける。
一点を見つめて真顔になる。
生徒全員、目があっている状態だ。
「うふふっ。………みーつけたっ」
勿論これは映像だ。
彼女の目に生徒達は映っていない。
けれど彼女の目線と声と笑顔に生徒は怯えた。
こちらに向かって飛んでくる。
とても楽しそうに、嬉しそうに…。
生徒1人の体を通り抜け、彼女が捕まえたのは青年だ。
生徒達の目の前で無惨に切り刻まれる青年の姿は、見るに耐えない悍ましいものだった。
切り刻まれながらも生徒がいる方に助けを求める青年。
生徒からすればまるで自分達に助けを求められているように映る。
生徒の数名が泣き崩れ、叫び出す。
青年を殺める彼女を誰か止めてくれと…。
けれどこれは映像であり過去に起きた出来事。
青年を救う者などいない。
救える者などいない。
悶え苦しみ泣き叫ぶ青年の姿を見て楽しんでいる彼女。
息の音が止まる寸前で青年から離れ見つめるその彼女の顔は、とても楽しそうな嬉しそうな笑顔だった。
青年の切り取られた手足、引き裂かれた内臓、見る影もない程に切り刻まれた身体がその場に散りばめられている。
青年が亡くなると楽しみがなくなったかのように彼女からは笑顔が消えた。
そしてまた彼女は生きている能力者を探し始めた。
映像だとはいえ、生徒のほとんどが吐き気に襲われる。
すると脳内から氷河の声が聞こえてきた。
「これからあと数千人殺された。我々氷晶族もほとんどが殺され、助かった者はほんのひと握りだった…。…苦しい記憶を見るのはここまでにしよう…」
それからすぐに映像は消え、現実世界へと生徒全員は戻った。




