レッドクイーンの誕生
辺りは闇のように暗く、クラスの皆が居なければとても耐えられる空間ではないこの場所。
「先ずは幸せな記憶を見ていこう」
氷河の声が脳内に聴こえてくると辺りが一帯花畑へと変化し、大きな街が現れた。
「ここは栄えていた頃のルアールだ。皆が幸せに暮らせていた」
「うわぁ!綺麗~」
「みんな笑ってる」
「なんか私達まで笑顔になるね」
とても明るく賑やかな街だ。
生徒が各々に呟いていると再び脳内から氷河の声がした。
「さぁ、ここからが君達に学んでもらう場面だ」
ルアールの街に白く長い髪で白いドレスを着た女性が現れた。
その女性はとても目立っていた。
街の中心部まで人を惹きつけながら進むと突然壊れたかのように笑い出した。
周りにいた者達は少し距離を置き始める。
するとその様子を見ていた女性が笑い声を止めた。
そして可愛らしい笑顔を1度人々に向けると周りにいた数名を一瞬にして切り殺した。
白いドレスに赤い血がつき、うっとりしている。
異常な光景に周りの者達が能力を解放する。
「逃げないんだ。かーっこいーねっ!」
女性は満面の笑みを浮かべる。
その笑顔は何にも恐れず寧ろ楽しみで仕方がないといったような笑みである。
能力者数十名が一斉に飛びかかる。
けれど飛びかかってきた能力者数十名を再び全員切り殺した。
能力者がいとも簡単に切り殺される姿をみた者達は一斉にその場から逃げ出す。
「なーんで逃げちゃうの?あぁ、鬼ごっこか~」
女性はそう言って微笑むと逃げ出す能力者達を無差別に殺し始めた。
その姿を映像として見ていた生徒達も皆怯え始める。
あっという間に女性のドレスは血に染まり、まるで赤いドレスのよう。
そして白く長い髪も血に染まり真っ赤な髪に毛先まで変わっていた。
「この女性がレッドクイーン…。真っ赤に染まった女王。この姿がレッドクイーンという名の由来だ…」
氷河のか細い声がどこか切なさを含め、生徒の脳内に語りかけられた。




