紫城の才能
「ねぇ、さっきの酷くない?"敵と思え!"なんて」
あむに声をかけてきたのは同じチームの紫城てぃあ。
あれから私達Dチームはホールから出てそれぞれチームごとにD組の教室へ誘導された。
その途中、あむは話しかけられたのだった。
「そ、そうだね」
「私、紫城 てぃあ。珍しい名前でしょ?柚木あむちゃん」
あむはニッコリ微笑んだ。
「てぃあね、あむちゃんと同じチームになりたかったんだ」
「あむと?」
「うん。だってあむちゃんは私の憧れだったから」
「え?」
「あ、着いたー」
気づくと教室に着いていた。
教室に入るとすでに席は決められていた為、皆席につくと担任の小野寺が氷晶族を教室に招き入れた。
「これから試験まで各チームに氷晶族のメンバーが監督官としてつく。先ずは自己紹介からか」
氷晶族のメンバーが1人ずつ自己紹介を始めた。
「氷晶族リーダー、氷河来夢です。Aチームを受け持ちます。よろしく!Bチームを受け持ちます、氷河 みんとです。よろしくね。Cチームを受け持ちます、柊星夜です。よろしく。Dチームを受け持ちます、八雲 りんです。よろしく〜。Eチームを受け持ちます、崇道響です。よろしく。Fチームを受け持ちます、小笠原麗美です。よろしくね!Gチームを受け持ちます、青木 凛星です。よろしく!Hチームを受け持ちます、鮎川 源です。まぁよろしく」
自己紹介を終えるとホームルームの終了を告げるチャイムが鳴る。
「このクラスの授業は2限からだったよな。ちょうどいいか。1限の間に各自実技で使う装備や器具をイメージしておけ。ざっくりでいい。イメージが湧かない者は各チームの監督官か俺の所に来るように。あー、あと2限は第3ホールで行うから遅刻するなよ?」
そう言うと小野寺と氷晶族メンバーは教室を出て行った。
それから私達は各自装備や器具について考えはじめた。
「ねぇ、みてみて!こんなのどうかな?」
紫城がノートを開き、チームのみんなに見せる。
そこに描かれていたのはチーム全員の装備や器具だった。
「うわ、すげぇ!クオリティ半端ねぇな!」
ノートを見て呟いたのは南。
「みんなの能力が分かるの?」
大高が問いかける。
「うーん、正確に分かるわけじゃないけど私の能力とは別に生まれつき少しだけど見極める能力があるんだ〜。例えば、南くんとあむちゃんは私と同じアニマルフェアリー科。南くんはアニマル能力の方がフェアリー能力より優れている狼くん。あむちゃんはアニマル能力もフェアリー能力もずば抜けて高いけど、今はまだうまく使いこなせてないって感じのうさぎちゃん。茉優ちゃんはアニマル能力が高いアニマル科のシマリスちゃん。神楽くんも茉優ちゃんと同じアニマル科で茉優ちゃんよりも能力が高いライオンくん。そして新海くんはフェアリー科で魔力が高い!戦闘において攻めにも護りにもなれる!って感じかな」
「す…すげぇ」
「怖ぇ…」
南と神楽が同時に呟く。
「ちょっと怖いって言わないでよっ」
「いや、簡単に分析されたら怖ぇだろ…」
紫城と神楽が言い合いはじめた。
「でも、凄いね。みんなの能力が分かっちゃうなんて」
「親譲りなの」
「羨ましいなぁ」
大高は紫城の才能を羨ましく思った。
こうしてAチームのメンバーは紫城が考えた装備や器具を採用することにしたのだった。