第2種目 ボール投げ
「よーし、桃瀬と柚木も戻ったな。次は2種目、ボール投げだ。どこまで遠くに飛ばせるか、これは1人ずつやるから。あー、投げ方は各々に任せる。ひとりひとりタイプも違うからな。そんじゃ始めるぞ」
黒川はあらかじめ用意していた鉄の球体を生徒に手渡す。
「この球体はな、投げてから地面についた地点の距離を記録して自ら飛んで戻ってくるようになっている優れものだ」
そう言って黒川が試しに球体を森林に向かって投げた。
少しして球体が戻って来ると黒川の立っている位置から少し離れた場所に球体は落ちた。
「こんな感じで、自分に当たることはないから安心して思いっきり投げろよ」
球体を手にして生徒のもとに戻った。
それから生徒はランダムに呼ばれ、1人ずつ測定が始まった。
はじめに後藤が球体を手にして振りかぶり投げた記録は…0。
すると一斉に生徒が吹き出して笑った。
後藤は大きく振りかぶり地面に叩きつけたのだ。
その光景に生徒は耐えきれず吹き出してしまう。
「ぶはっ笑」
「くふふっ笑」
「何やってんのー?笑」
「後藤、それはっ笑」
「ありえねぇー笑」
「ないわー笑」
生徒のほとんどがお腹を抱えて笑っていた。
投げた本人もまさかの記録に笑みがこぼれた。
「何やってんだ、後藤。ちゃんとやれ!笑」
黒川も耐えきれず笑い出しながらももう1度投げさせた。
2度目の記録は後藤 55.3㎞。
結構距離が出たものの、本人含め生徒のほとんどが笑っていた。
それから1人ずつ計測を続け、生徒全員の記録が出た。
佐伯 48.1㎞,神崎 31.2㎞,矢野 62.4㎞,
桃瀬 69.6㎞,松下 27.7㎞,野間 52.9㎞,
籠山 31.2㎞,七瀬 38.1㎞,本田 43.7㎞,
奥田 23.7㎞,柚木 63.1㎞,福士 28.5㎞,
轟 67.3㎞,白石 50.2㎞,南 50.8㎞。
後藤・佐伯・桃瀬・松下・七瀬・柚木・轟・白石の8名は人間の姿のまま能力を腕に集中させて飛ばし、神崎・野間・奥田・福士の4名は翼の遠心力を使い飛ばす。
残りの矢野・籠山・本田・南の4人は1度空中に球体を浮かせてから身体を使い飛ばした。
「よし、これでボール投げは終わりだな。次は第3種目、柔軟性を測る赤外線レーザー」
(赤外線…レーザー?)
生徒のほとんどが首を傾げた。
「お前達いい反応するな。レーザーを潜ったり跨いだり避けたり、柔軟性を見るには赤外線レーザーが1番なんだ。この種目は室内で行うものだから第1ホールに今から向かうぞ」
黒川はそう言うと生徒達を連れて第1ホールへと向かった。