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短編集 冬花火

ビデオテープの思い出

作者: 春風 月葉

 人の記憶はいつか消えてしまうから、代わりに私達が思い出を記録するのだ。


 古い木製の本棚から、数年ぶりに私は取り出された。

 私の持ち主はふぅ…と息を吹きかけ私の上のホコリを落とした。

 パカっという小気味よい音と共に私の中にしまわれていた記憶があらわになる。

 持ち主は私の記憶の塊を四角い金属の箱に押し込む。

 しばらくすると黒い大きなガラスの板の中に私のよく知る光景が写し出された。

 それは私の記憶、私の中に焼きついた唯一の思い出、その全てだった。

 持ち主はソファに腰掛け、私の思い出を勝手に観賞し、自分のことのように語り出した。

 やめてくれ、それは私の記憶だ。

 私はそう心の中で叫んだ。

 私の思い出を土足で踏み荒らし、満足したのか持ち主は私を棚の奥に戻した。

 この記憶は誰のものなのだろう。

 本棚の奥で私は苦悩する。

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