僕の視点
僕は5人兄弟の5番目に生まれた三男です。
2話完結です。
今日は僕の一番のお気に入りの靴でお出かけします。
この前お兄ちゃんが「一番お気に入りの靴を履いておまじないをする。なんとゆうことでしょう。靴が素敵な場所に連れて行ってくれます。」て言っていた。
だから僕もおまじないの言葉を心の中で唱えて、素敵な場所に行きたいと思います。
『靴様、靴先様、靴底様。どうか僕を素敵な場所に連れて行って下さい。』
おまじないは唱えた。靴も履いた。
では「行ってきます。」
玄関を出て真っ直ぐ進むのはいつもの道。
だから今日は右か?左か?
左は芝生のお庭側の道。右は知らない。
今のところ靴の反応は何もない。
よし。右に進むぞ。てくてくてくてくてく。
「あら、そー君。ひとりでどうしたの?」
あ、りゅうくんのお母さんだ。ここはりゅうくんのおうち?
「靴がね。僕をね。素敵な場所なの。」
「よくわからないけど、お腹すかない?いまクッキーを焼いたの。竜馬も中で食べているから一緒に食べる?」
「食べるー。」
お邪魔します。あ、りゅうくん発見。
おうちのリビングに座ってクッキーをもしゃりもしゃり。
ご馳走様です。では、僕の靴と素敵な場所に行くのです。お邪魔しました。
「クッキーのお土産いる?」
「ありがとうございます。」
お土産クッキーを右手に持って、僕の靴はどこに行く。
あ、右側に水溜り。靴が濡れるから左に行こう。
とにかく進む。てくてくてくてくてく。
「あら、そー君。今日は一人?お兄ちゃんは?」
「今日は靴とお出かけです。」
「あら、素敵な靴ね。そうだわ、さっき野菜屋さんが来て苺をくれたの。一口食べる。」
「苺・・・・大好きです。恋してます。」
「あらあら、苺に恋するなんて、そー君はロマンチックね。」
苺を一口。二口。三口。おいしい。甘い。
ありがとうございます。ご馳走様です。
では、左手で大きく手を振ってから、僕の靴はどこに行く。
あ、お絵描きが上手なお兄さんがいる。
「そー君。ひとりでどこ行くの。」
「靴と素敵な場所なのです。」
「?」
「靴と一緒に素敵な場所にお出かけするのです。」
「それは素敵だね。それならその素敵な靴を絵に描いてみてもいいかな。」
なんて、素敵なお話。では、僕の一番お気に入りの靴をモデルに一枚お願いいたします。
その間、僕は地面にあるこの綺麗なタンポポの絵を描きます。
紙と色鉛筆をお借りして、かきかきかきかき。
我ながら素敵だ。
お絵描きお兄さんの描いている絵はどうかな。
芸術だ。
「はい。出来たよ。素敵な靴をモデルに貸してくれてありがとう。お礼にこの絵をプレゼントするよ。」
いいんですか?うれしいです。ありがとうございます。
絵をくるくる丸めて背中のリュックに入れます。ついでにクッキーも入れます。
では、お邪魔しました。また今度。両手があいたので両手いっぱいで手を振って、僕の靴はどこに行く。
真っ直ぐ進む。真っ直ぐ進む。右と左が森になった。
そして、なんと、森の中に魔女の家がある。
絵本にあった不気味な魔女の家がある。
怖いよ。こわい。こわい。
僕の靴は走るのに向いています。
だから走ります。タッタッタッタッタッター。
怖かったです。でも、森を抜けました。
左に田んぼがあります。そしてレンゲの花発見。
レンゲ、レンゲ。
僕は田んぼに入って、レンゲの花をぷちりぷちりと千切る。
おうちの花瓶に入れたらきれいだろうなぁ。
さあ、寄り道は終わり。とにかく進むぞ。てくてくてくてくてく。
僕の靴はどこに行く。
やばい、真正面に僕の苦手なよく吠える犬のおうち。
ここは右にも苦手な犬のおうちがあるから左に行こう。
ぬきあし、さしあし、しのびあし。静かに静かに。一匹が吠えたら全員吠える。
ぬきあし、さしあし、しのびあし。とにかく進むぞ。てくてくてくてくてく。
すごい、今日は吠えられなかった。初めてだ。さすが、僕の靴。
あ、公園だ。公園だ。僕の大好きな公園を発見。
いつも公園で草むしりしているおじいさん発見。
「そー君。今日はひとりで遊びに来たのかい。」
「靴が僕を連れてきてくれたの。」
「そうかい。そうかい。」
「僕も草をむしります。」
「いつもお手伝いありがとう。」
ぷちり。ぷちり。
あ、赤いてんとう虫発見。
ぶちぶち。ぷちり。
あ、ちょうちょだ。えっとたしかモンシロチョウ?
プチプチ。プチリ。
あ、シロツメクサだ。
ブチ。ブチ。
あ、てんとう虫。さっきと違って黒い。
ぷちり。プチリ。ぶちブチブチ。
あ、ちょうちょだ。アゲハチョウ。間違いない。
どこに飛んでいくの。僕も行く。てくてくてくてく。
「そー君。走ったら危ないよ。」
「ごめんなさい。ちょうちょを追いかけていました。」
「わかるなぁ。わたしも昔は網を持って追っかけたよ。」
網ですか?ちょうちょをつかまえるのにですか?
魚ではなく?
長い棒の先に網がついた虫取り網がお店に売っているそうです。
初耳です。今度お兄ちゃんに聞いてみます。
「そー君。もう夕方だよ。おうちに帰らなくていいのかい?」
夕方?なんということでしょう。太陽が傾いています。
おじいさん、また今度ね。両手でバイバイ。公園を出て右に行く。
帰るぞ帰るぞ。てくてくてくてくてく。
芝生を横断。
おうち発見。
僕の靴はどこに行く?
僕のおうちに行きました。
「ただいま。」
続きは同じ時間同じ場所で、弟を見る兄の視点です。




