第3話 婚約!?
村へ向かう途中アルバルトさんと騎士達が荷物を持ちながら大人同士で談笑している。
そしてこちらはというと
「で?さっきのは魔法なの?」
「魔法なのですか?」
とリィナとレィナの二人に質問責めにあっていた。
二人はシオンを逃がさないように右からリィナが、左からレィナがホールドするように服を掴んでいる。
「まぁ・・・そんなとこ」
と曖昧に答え続けている。
(これを話すには一応族長の許可をもらわないとだしなぁ)
と考えていると、ふと思い立ったことがある。
「リィナとレィナにちょっと聞きたいんだけど・・・」
「なぁに?」「なんですか?」
二人は同時に返事をする。
「アルバルトさんと騎士の二人って国王と家臣に当たる割には親しげじゃない?」
「あれは私達と遠縁に当たるから」
「遠縁?」
「要するに親戚です」
左右から交互に会話が成り立っていることに感心しながら納得した。
「なるほどね」
親戚なら納得はいく。
・・・・・・・
そのまま暫く歩いていると
「「で?さっきの魔法?」」
「まだ続くの!?」
そんなやり取りをアルバルトは後ろから騎士たちと談笑しながら眺めているのであった。
結界を通り抜け、里の入口に行くと
「兄さんお帰りなさい」
といつものように飛び込もうとしたがシオンの服を両脇から掴む二人がいて飛び込めなかった。
「これ、リシア落ち着きなさいな」
族長ラウルが歩きながらやってきた。
「久しいのう、元気であったか?アルバルト」
「元気ですよ、師匠こそ元気そうでなによりです」
「ほっほっほ、それはよかった、それより大丈夫かえ?精霊たちがその他ら魔物に襲われたと騒いでおったからのぅ」
族長ラウルは長年生きていることもあり精霊との親和性が凄まじく森の付近であればある程度の情報を精霊達が教えてくれるらしいのだ。
「はい、シオンのおかげで命拾いしました」
「それは何よりだ。シオン、儂からも礼を言っておこう、ありがとな」
「いえ、当たり前のことをしたに過ぎません。それよりも族長にあのことについての許可をいただきたいのですが?」
「・・・後で家に来ておくれ」
「わかりました」
このやり取りはアルバルト以外はわかっていなかったみたいだ。
「ほれリシア、いつもの空き家に案内しておくれ。儂はシオンと話があるのでな」
王女二人がいまだにシオンの服を掴んでいることに嫉妬の目線を配りながら
「わかりました」
と答えるのであった。
場所が変わって族長の家にきたシオン
「そうかい・・・あの少女達に精霊魔法見られたのじゃな」
シオンは熊の魔物を討伐する経緯を話した。
「はい、一応曖昧な受け答えで無理やりごまかしてはいますが」
あのような少女達には嘘はつきたくないので、魔法だとは肯定はしていない。
「それで?シオンは少女達に本当のことを話したいと」
「はい。話したいです」
「・・・・」
族長は目を瞑り考え込んだ
(あの子たちのことはシオンに聞く前からアルバルトから聞いている。今回二人を連れてくることも・・・それに先ほどあの二人を見た時に感じたマナ。あれはやはりシオンの・・・リシアに話しておいてよかったわい)
「まぁ、アルバルトと後ほど交えて少女達二人に明かそう。後、護衛の騎士二人も親族だしあの様子なら話しても大丈夫だろうて」
「わかりました、ありがとうございます」
こうしてシオンは二人に精霊魔法のことを話すことができるようになり嬉しそうにお礼を言った。
また場所が変わり空き家に到着した一同
「ここが空き家です」
リシアが案内すると
「おお、変わらずいい感じだな」
「ここが・・・」
「噂の・・・」
アルバルトは少し懐かしそうに、リィナとレィナは話だけ聞いていたので思ったより良くできていて周りとの森との親和性があり物語の家のようだと感じた。騎士たちは実は2回目なので落ち着いている。
玄関を開けるとリビングがあり、右手前に台所、左手前に洗面所等、リビングの奥には廊下あり、その先の突き当りは円状になっており、4つほど個室の扉があった。
みんなは一旦荷物を置こうとそれぞれの部屋に向かった。
アルバルトはいつも通り中央右側、騎士二人は更にその右側に向かって行った。
リィナとレィナはどこに行けばいいかわからないでいると
「リィナさん、レィナさん初めまして。私はシオンの妹のリシアと申します。お二人のことは族長より伺っています。どうぞこちらのお部屋へ」
とリシアが中央左側の部屋へ案内した。
リシアはシオンが出かけた後、族長から二人の話を聞いていたのだ。
「「ありがとうございます、リシアさん」」
とハモってお礼を言ってきた。そのことにリシアはさすが双子と思うのであった。
昼時間を少し過ぎた辺りで玄関をノックする音が響いた。
「開いているぞ」
リビングにいたアルバルトが答えると
「お邪魔します。みなさん」
とシオンが入ってきた。リビングにはアルバルトと騎士二人がいた。
「シオン殿、先ほどはありがとうございました」
「いえいえ、ユーグスさんとカイルさんでしたか。会うのも2回目ですかね。兜かぶっているときは顔が確認しづらくてわからなかったですよ、すみませんでした」
と会ったことある人なのに判らなかったことに誤った。
「いえいえ、もう1年以上会っていないのですから当然な方かと。しかし名前を憶えていただけたことは嬉しく思います」
と少し話し込んでいると
「シオン、何か用があったのではないか?」
「あ!そうでした長老が昼食の準備と報告の場が整ったとのことですのでお呼びに来ました。場所は族長宅で行います」
「わかったすぐ準備をしよう。それと娘達がリシアと部屋にいるから呼んできてもらってもいいか?」
「わかりました」
シオンは部屋割りを知っているためそのまま中央左側の部屋へ向かった。そして部屋の扉をノックしてから扉を開けた。
「失礼しま・・・す・・・」
シオンは固まってしまった。何故ならリシアはともかくリィナとレィナは旅装束から、着慣れているであろう簡易なドレスのようなものに着替え途中らしく下着姿だったのだ。因みに二人はお揃いの下着らしく色は白だった。
「シオン・・くん・・?」
「え?・・・え?・・・」
「兄さん・・・」
下着姿の二人は顔を真っ赤にしてリシアは怖い顔でにらんできた。しかし、二人はなぜか叫ぼうとせずに手に持っている服で体を隠しながら
「シオン君・・・あの・・・そのですね・・」
「あまり見られると恥ずかしいから・・・一回出てもらえると助かるのだけれど・・・」
「ご・・ごめんなさい!」
シオンは二人に言われてやっと体が動き始めた。そして慌てて部屋の扉を閉めた。
部屋の中では顔を赤くしたまま着替えていた。
「兄さんが粗相を犯してすみません」
兄の代わりとリシアが謝っていた。
「いえ・・あの・・・そのうまく言えないけど」
「うん・・・いやではないですからから平気です・・・」
その二人の答えを聞いて「ん?もしかして」と声を漏らした。
部屋の前では着替えを覗いてしまったこともそうだが、二人がリシアより身長が低く小柄ながらスタイルの良さに驚いていた。その光景が目に焼き付いてしまってドキドキしていた。
その時、部屋から
「「シオン君もう大丈夫です」」
と声が二人からかかった。扉を開けて
「本当にごめんなさい!!」
勢いよく覗いてしまったことに対して謝った。
「そのリシアさんにもいったのだけれど」
「そのイヤではなかったから気にしないでください」
「本当にごめん」
「本当ですよ兄さん。ここがもし王城や王都だったら極刑かもしれないのですから」
シオンはリシアの一言を聞いて里で助かったと思った。
「それで兄さん、準備できたの?」
「うん、族長の家でやるって」
「わかった。お二人ともいきますよ」
「「は!はい!」」
二人はまだ顔が赤いがみんなと一緒に部屋を出た。
「お!来たな」
アルバルトが騎士二人と一緒に玄関前で待っていた。
「お待たせしました。それでは行きましょうか」
「で?シオン、いいものでも見れたか?」
と小声で話しかけてきた。
「な!」
シオンは顔を赤くしてうろたえると
「大丈夫だって、怒ったりはしないから、どうせシオンには・・・まぁ後でいいか」
笑いながらそんな風に呟き、族長宅へ向かった。
後ろからついてきているリシアとリィナ、レィナは楽しく談笑していた。リシアは談笑しながら二人の様子を伺っていると、ちらちらとシオンを目で追っていることが分かった。
(やっぱり二人は兄さんが好きなんだ。会ったばかりとは言え命を助けられ王族という名を気にしないでできた友人だからなのか・・・それとも)
リシアは二人と同世代ということで、部屋の中でも話をしていた。部屋で着替えもせずに話していたため、シオンに着替えを見られはめになったのだが・・・
(運命の人・・・かぁ・・・まぁ族長の話でなにかわかるでしょ)
そして族長宅で昼食会が行われていた。
面子は族長にアルバルトと騎士二人にリィナとレィナ、そしてシオンとリシアに母親であるリーティンが呼ばれていた。
昼食は森で取れた動物や木の実等を使った料理だった。長年生きている族長自らが作っていた。
「本当においしいですよ!師匠」
「独特で初めて食べましたけどおいしいね」
「うん、けっこう見た目と反して繊細な味がします」
アルバルト、リィナ、レィナの順で料理を
「口に合ってよかったわい」
そのままのんびりとした昼食会が終わった。
昼食後は報告だ。
「で、アルバルトよ。この二人のことは昔聞いていたからわかってはいたが、思ったより早くはないかい?」
「はい、18歳を迎え成人をしてからと考えていたのですが予定を早めました」
「・・・何かあったか?」
「王都の南に海に面した所にアルマポールトという港町があるのですが、その港より海岸沿いに東に行くと漁業を中心とした村があるのです。警備の方も王都より数名派遣してはいるのですが、突如魔物が多数押し寄せ一晩持たずに壊滅したのです。これが1月前となります」
「なんじゃと?魔物は単体ではなく集団で押し寄せたというのか」
族長はそこに驚きつつ確認をした。アルバルトと騎士は頷いた。
「あの~質問いいでしょうか?」
とレィナが聞いた。
「魔物は生物内にもつ魔力が暴走したものと聞いています」
「暴走した魔物は理性を失うと学校で習いました。その状態で連携を取れるものなのでしょうか?」
途中からリィナが質問を繋いだ。
「魔力の暴走か・・・なぜ暴走するかは知っているかね?」
「「・・・いいえ、わからないです」」
「今からここで話すことはこの里以外の人間には内密にするのだぞ、そっちの騎士たちもな」
そう言ってみんなに釘を差した。
「一つずつ話をしていこうか。まずはお主たち二人はシオンの魔法を間近で見たのよな?」
「「はい」」
「あれは精霊魔法と呼ばれる術じゃ」
「せいれい・・・」
「まほう・・・」
「精霊魔法は魔法と異なる術の1つじゃ。魔法は生物内にある魔力を詠唱や術式を通して自然界のエネルギーであるマナに伝え事象を起こす。これが魔法じゃ」
「マナですか」
「初めて聞きました」
族長の言葉にリィナとレィナはマナという存在に驚きつつ耳を傾ける。
「アルバルトには昔軽く説明したが、精霊魔法とは生物の体の内にあるマナを操り、直接事象を起こす術じゃ」
「ちょっと待ってください!」
リィナが声を上げた。そのままレィナが
「体内には魔力の他にマナもあるのですか!?」
その質問に対して
「そうじゃ、といっても普通の人間族はかなり僅かじゃ。精霊魔法を扱うには足りん。だがここにいるシオンは違う。見た所お主たち二人も違うようじゃがな」
「「「え?」」」
シオンの声とリィナとレィナの声が重なった。
「どういうことですか?族長?」
シオンはどういうことだと思い口を挟んだ。
「シオンはまぁ落ち着け。先にシオンの方じゃがこいつは特異体質なのか体の内に魔力を宿しておらん。その代わり底なしといってもいいほどの純粋すぎるマナを宿してはいるがの。そのおかげで精霊魔法を不得意はなく里でも突出した実力を持っているよ」
「体の中に・・・」
「多量のマナが・・・」
「「ってさっき私たちもと言ってはませんでしたか?」」
「言ったさね。ただ儂にもそなた達のマナは感じたことがない種類じゃ」
そう言って一旦話を区切った。
「アルバルトや、あのことも話してよいか?」
「はい、そのためにここへ連れてきました。そして魔物の集団のことも」
「わかった、シオンも含めお前さん達は予言で知っておったのだ」
「「予言?」」
「族長、予言っていつの話です?」
シオンが気になっていることを聞くと
「アルバルトが国王になる前じゃから20年ほど前じゃな」
「「「20年!!」」」
「族長20年って僕達産まれてすらいないですよね」
「そうじゃ、ちょうどアルバルトがこの里で修行を積ませておったときでの、この里に儂より長く生きていた者がおったんじゃ。その者が死ぬ間際に儂とアルバルトはその場に居合わせの・・・この世界がこのままだと瘴気が溢れ生物は魔力暴走を起こし破壊されるかもしれぬと言ったのじゃ。その者はたまに夢で未来を見ると言っておったが、大きな出来事しか見なかったそうなのじゃ。だが死ぬ間際では夢と現の境が曖昧になっておったのか儂らを見て言ったのじゃ。この里で育つ人間族とアルバルトの双子の娘が希望になるかもしれない・・・とな。あまりにも限定された予言だと、最初は気にしていなかったのじゃが、シオンがこの里に来たことと、アルバルトに双子の娘が出来たと聞いて、真実味が出たという感じじゃな」
「希望・・・私たちが・・・」
「でも私たちはシオンくんみたいに特別なものはありませんが・・・」
「さっき言ったじゃろう。そなた達二人は儂も知らぬマナが宿っておると」
シオンは考えていた。
(僕は特異体質でマナを宿していると言われた。族長も精霊魔法を教わるときに言っていた。でもリィナとレィナも何かしらのマナを宿している。でさっき言っていた魔物の集団行動・・・で予言にあった瘴気たるもの・・・古文書で呼んだ気がする・・・確か・・・あれは・・・)
「魔人・・・」
シオンがそう呟くと
「やはりシオンは気付きおったか。そうじゃ瘴気はマナと相反するもの。魔人が発すると言われているものじゃ」
「魔人ですか・・・」
「でもどうして魔人と私たちが関係しているのでしょうか?」
リィナとレィナは困惑しながら訪ねた。
「儂もなぜおぬしら3人が希望なのかはまだわからん。が瘴気で狂暴化した動物、もしくは魔物ならば統率が取れるのかもしれん」
「我は師匠とその予言者の言っていることが当時はわからなかった。当然だろう。まだ産まれてすらいないものたちが希望と言われたのだから。第一子は男で王権即位する予定のガイウスだった、双子でもなかった。その2年後今度は女の子が生まれた、双子のお前たちがな」
「そなた達二人はここに1度来ておるぞ、確か1歳だったかのぅ。そして、アルバルトが来る前夜にシオン・・・お前をリーティンが連れてきたのじゃ」
「我がここに着いた時に師匠と共に予言者の言葉を理解してな、世界に異変が起きたら合わせてみようとな」
「そんなことがあったのですね」
シオンは何となくだが理解した。
「私たちが・・・」
「シオン君と・・・」
二人はシオンとのことを一目惚れと言っていい状態でいたのに、予言者が運命の人的な感じでいっているのがうれしくて潤んだ瞳でシオンを見ていた。
「そのことで母親代わりをしてくれたリーティンと妹であるリシアを含めて報告があるのじゃ」
「シオンを我の国、王都へ連れて行き、我が娘たちと同じ魔法学校へ一時ではあるが入学させようと思うのだ」
「入学!僕は独自で魔法と剣の修行ぐらいしかしてないから世の中のことあまり詳しくはありませんよ」
シオンは驚きながらも、世間に詳しくないことを伝えた。
「もちろんわかっておる。だからこそ入学させるのじゃ」
「ええ、師匠の言う通りです。今は夏季休暇中ですが娘たちは春に入学してまだ高等1年生。本来3年間そこで魔法と学問を学ぶ。だが今回は異例として2年生にはせずに卒業とさせる」
「「そうなのですか!!父上!!」」
二人同時に驚く。
「ああ、本当だ。そして夏季休暇が終了したら転校生扱いとしてシオンを入学させる。学校での授業で半年と少しだが世界の知識は多少は育めよう」
シオンは絶句したがよくよく考えてみるとありなのかもしれない、そこで知識が増やせることに喜びを感じていると
「そして3人は高等1年生で卒業させ旅に出て各地の瘴気を見て回ってもらいたい」
「「「・・・・はい?」」」
3人でハモってしまった。
「シオンの実力はすでに知っておる、我が国にはそなた以上の強者はいないといってもいい。そしてリィナとレィナ、お前たち二人はマナがあるということで、シオンを師として精霊魔法を学んでほしい」
「・・・それは決定事項ですか?」
シオンが質問すると
「そうじゃ。リーティンにはシオンを拾ったときにすでに話はあるから大丈夫じゃ。リシアはすまなんだ。突然のことで驚いただろう」
「・・・正直いえば嫌です。兄さんのことは好きだから行ってほしくないです。でも・・・う~~~!」
バン!
リシアはこの部屋から出て行ってしまった。追いかけようとすると
「リシアには私から説明しとくから」
とリーティンがやさしく頭をなでシオンを押しとめた。
「母さん・・・お願いします」
「うん、まかされました」
そう言ってリーティンは追いかけて行った。
「まぁ・・・ああなるじゃろうな・・・リシアはシオンのことを好いていたようじゃし」
「「リシアさん・・・」」
二人もリシアのことが心配なのだろう。そう呟いていた。
「こんな時に言うのもあれだが・・・こいつらの父親として一つシオンに言っておきたいことがある」
「なんでしょうか?」
あまりの真剣さにごくりと唾を飲む。
「こいつらと婚約者になってほしい」
・・・・・・
「「「えーーー!!」」」
言葉を失って再起動した3人で絶叫というほどの声を上げ驚いてしまった。
「実はの・・・。おまえさん達が赤子の頃にアルバルトと約束してしまってのぅ」
「娘達は王女だ。王女は基本政略結婚するのだがな、予言の話だとシオンと共にいなければならない気がしてな。それならくっつけてしまった方が娘達のためかと思ってな」
「瘴気のことをシオン以外に内密にしながら旅をさせるのは無理があるじゃろうと、つい言ってしまったんじゃ。お互いの今の様子を見るとまんざらではないかと思うがのぅ」
「確かにリィナもレィナもすごく美人で可愛いと思うのですがいいのですか?確かこの国では1夫1妻のはずでは?」
シオンは当たり前の質問をするが
「そんなもん国王である我が押し通す!」
いいのか国王!!とシオンは内心で突っ込みを入れた。
「それにリィナとレィナはいいの?僕なんかに二人で婚約するなんて」
二人に水を向けると
「シオン君となら・・・その・・・いいかな・・・それにレィナとも」
真っ赤な顔で答えるリィナ
「そうだよね・・・シオン君となら・・・リィナとも別れずに済むし・・・」
こっちも顔真っ赤だった。
そんな二人に顔を向けられてシオンは動揺してしまった。
「娘たちがこう言ってんだ。遠慮するな。それにシオンのことは実力も性格も認めてんだ。胸をはれ!」
「そうじゃ、シオンや。この娘たちもお前ならいいと言っている。だがお前たちは会ったばかり故、反りが合わん時もあるだろう。だがそれでもお前たちが仲良くなってくれることを祈ってるよ」
「・・・族長」
「お前たちは希望なんだ。頑張ってお行き」
そうして出会ってから半日もしないで婚約者となった僕達であった。