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双子王女との恋奏冒険記  作者: 雅國
第一章 太陽と月の双子王女~王都アルマブルク編~
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第1話 精霊の里に住む少年

初投稿・初小説のため、不備があるかもしれませんが、頑張って書いて行きますのでよろしくお願いします。

 アル・アニムス これがこの世界の名前である。


 この世界は複数の大陸や島に分かれており、その中でも一番の大きさを誇る、中央大陸アルディーナの中央付近にアルマブルクという王都がある。


 その王都から西に行くと深い森がある。その森は精霊の森と呼ばれ、人が寄り付かないような森であった。その森の奥に精霊の里と呼ばれるエルフ達を中心に獣人等といった亜人種が暮らす村がある。


 そこに唯一の人間族のシオンは暮らしていた。

 シオンは15歳の少年で、身長は約170㎝で黒髪をしている。


「シオン、もうすぐ昼できるから手伝ってくれない?」

 と養母であるエルフのリーティンから声がかかる。

 シオンは15歳だが、警備隊で働いている。

 外で日課の精霊魔法と体術の鍛錬をしていたシオンは

「わかった、今行くよ」

 返事をして一本の木を柱として建てられた自宅に入る。


 精霊の里では一本の木を柱として家を建てる慣習がある。これはこの森にいる大精霊アレティアの加護を付けるという由来がある。

 そして、里から少し離れた所には巨大な大樹がある、その木は大精霊アレティアが宿っており、里を守ってくれている。

 これは迷信とかではなく本当のことだ。

 さっきも少し触れたがこの世界は魔法がある。そして自然界のエネルギーであるマナが存在し、そのマナが自我を持ったものが精霊となると言われている。


 そして、この巨大な木は数千年単位で、この場所にあり続けているそうだ。


 シオンが自宅に入ると

「兄さんお帰りなさい」

 と1つ歳下の14歳である義理の妹、エルフのリシアが飛びつきながら言ってきた。

 リシアは身長は約160㎝ですらっとしたモデル体型をしていて、ブロンドの髪を真っ直ぐに腰まで下ろしている。リーティンはそんなリシアをもうちょっとだけ大人にした感じだ。

「っと・・・いきなり抱き付くのは危ないって言ってるだろ」

 シオンは諭すと

「だって兄さんは鍛錬中は抱き付かせてくれないじゃないですか」

「なぜ抱き付くことが前提で話している」

「兄さんが大好きだからに決まっているじゃないですか~」

 と甘えて離れようとしない。


 当然のことながら、自分達兄妹として育てられたが本当の兄妹ではない。

 それなのに、そろそろリシアはいい年頃で女性らしい身体付きになってきたので、シオンは少し困っていた。


 リーティンもリシアもすらっとした体格をしていて胸とかも大きくはないがバランスが取れている。ちなみにリーティンは35歳らしいが長命であるエルフだからなのか20歳ぐらいにしか見えない。人間族からしたら二人は姉妹だと言っても納得するレベルである。


「二人ともじゃれ合ってないで手伝って」

 台所からリーティンが声をかけてきた。

「今行くよ、母さん。ほら、リシアも行こう」

「うん!」

 この家族は三人の母子家庭だ、父親であるレイオンは10年ほど前に里の近くにやってきた魔物の討伐の際、偶然通りかかった子供を、身を挺して守った際の傷で帰らぬ人となった。

 この時のリーティンお落ち込みようは激しく、当時まだ5歳と4歳の子供だったシオンとリシアにとっても衝撃的な出来事であった。


 シオンはその時から今まで遊び半分だった剣術と魔法の修行を自ら厳しくし、イメージや知識が必要な魔法も族長である老エルフ本人いわく200歳は超えていると言っている、そんな人から古文書にあたる書籍を見せてもらい、読みふけっていた。


 本来、父親であるレイオンが妻子を守るはずなのだが、いなくなってしまった。本当の家族ではなくても男はシオンしかいない。

 二人を守るため過酷な修行をし、シオン自らの特異性もあって12歳の頃には里では追従を許さないほどの強さを手に入れていた。


 本来18歳で成人とされるこの世界。

 この里でも成人してからではないと村の警備隊とかの危険がある本業には入ることができないとされるが、シオンは12歳で警備隊に入り父親に代わり稼ぎを行っている。


 因みに通貨は50年ほど前までは里にはなかったらしい。

 この里には滅多に人間族は来ないが数年に1度は森に誰かしら迷い込んで来るそうで、その際、助けてお礼をもらうことがあったりする。その旅人から通貨の存在を聞き、しっかり働いているかの監視の意味も込めて通貨を利用し始めたとか・・・


 食事を終えてリビングでくつろいでいると

「そうだ、シオン」

 リーティンが声をかけてきた。

「悪いけど明日の昼前にいつもの森の外の入口にアルバルトさんが来る予定だから早めに向かえお願いしてもいい?」


 アルバルトさんというのはこの国、アルマブルクの国王だ。族長ラウルがその昔、森で魔物に襲われていたアルバルト王、当時は王子を助けたことから、族長ラウルを友人兼人生の師匠として付き合っているらしい。


「わかった、明日、朝食食べたら早めに向かうよ」


 森の外で落ち合うのには訳がある。

 精霊の里は精霊の森の奥にあるため行き来するのが難しいというのもあるが、里に張ってある結界を超える必要がある。たまに隙間ができ魔物や動物が入ってくるときもあるが、基本的に里の者でしか抜け方の魔法を知らないのだ。


 そして翌日、魔物がでる可能性もあるから独自で制作した魔法剣を装備し森の外まで向かう。里から森の外まで慣れた足で歩いて1時間ぐらいだ。慣れていない人間だと2時間はかかるかもしれない。


 シオンは適当に食べられる木の実や薬の原料となる薬草を採取し時空間魔法がかかっている異空間袋に入れていく。


 因みにこの異空間袋はシオン自ら開発した魔道具と呼ばれるもので、袋の口の大きさ直径約30㎝の幅であるものなら袋より長さがあるものでも入れることができ、食料等も腐らずに持ち運びができるものである。

 長さも術式の組み込みの関係上、約60㎝ほどの長さがある。見た目は革袋に近いので、移動の際は旅人がよく使う革袋に見えるため、その場であれこれと出し入れしなければ隠す必要もない。


 ただこの袋は量産ができない、というかシオンはもう作りたくない。


 時空間魔法は伝説上の魔法の一種であるというのもあるが、古文書をヒントにあれこれ思考錯誤の末、特殊な魔力を宿した糸を精密に制御しながら編んでいった物だ。


 完成させるのにその精密作業をほぼ1年間やってできた物である。作業自体もそうだが材料の糸も希少なため量産は不可能といってもいい。


 この異空間袋の存在を知っているのは族長ラウルと家族のリーティンとリシアの合計3人だけだ。

 この異空間袋が完成したときはみんな口をポカーンと開き、呆然としていたのを覚えている。


 そんなこんなしている間にシオンは森の出口付近に到着しようとしていた。

 その時

 ドガーーーーン!!!

 と地面を揺るがすほどの衝撃を、シオンは森の外から感じた。


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