たとえ君が気づかなくても
どうも、初めまして果物のなしです。
この短編小説は、今私が連載している
『朝の妖精と夜の妖精』物語の別の妖精たちのお話です。
よかったら『朝の妖精と夜の妖精』の方も、読んでいってください。
初めて恋に堕ちたのは、幼なじみの君だった。
小さな体は、僕と正反対。
白くてふわふわで、動くと優しいお花の香りがしてその臭いが僕は大好き。
君はあまり人前では笑わない
だから笑う表情は、僕にとっても幸せだったよ。
君にはいっぱい、いっぱいの二人の思い出をつくってもらえた。
君と遊んだり、おしゃべりしたり、お日さまのあたるところで日向ぼっこしたり、そんな毎日が僕には十分すぎるくらいに、幸せだった。
感謝したくてしきれない、でも一つ、たった一つだけ、少し悲しくなるんだ。
どうして僕たちは同じ妖精なのに、こんなにも目線が違うのだろう。
どうして君には翼が生えていなくて、僕にはあるんだろう。
どうして君の種族は犬で、僕はドラゴンなんだろう。
神様がいるなら答えてほしいな。
ねえ、
――二人はどうしてこんなにも姿がちがうの?
***
「プル~!今日は早めにきたよ~」
「あっ・・!ユニン!」
この星はキープランド。僕たちは宇宙の中でも小さな惑星で、
僕たちはこの星で、生まれた瞬間に使命がつくられる。
使命とは、この宇宙の環境は、僕たちのような妖精がたくさんの属に別れていて、この星で宇宙の環境を支えている。いわゆるお手伝いだ。
バサッ
「今日はゆっくり向かえるね~」
「そうだね。」
バサッと翼を広げて飛ぶ準備をする僕。
僕とプルは同じ属として生まれた『雲の妖精』といって、主に仕事は、他の属の『天気の妖精』さんのお手伝いをすること。
天気の妖精さんは、名前の由来通り、神様に命令されている決まった天気を生成させる。僕たちは雨や雪とかくもりになったときに能力を使って決まった量だけ生成するお仕事。
一日中ずっとやる訳じゃない、僕たち妖精は同じ属として生まれた仲間がたくさんいる、だからみんなにはお仕事をする時間が決まっていて、お仕事の時間が終わると、他の仲間と交代してすごしている。意外とそこまで辛くないかな。
どこまでも見渡す限りの大きい空、この星を明るく照らす太陽さん。僕はこの綺麗な空をプルと眺めるのが好き。
プルとは小さい頃からの親友で、今では僕の初恋の相手である。
でも恋だと気づいたのは今から三ヶ月くらい前に、プル以外のお友だちに「それは恋だ」と言われてからのこと、僕にはもう一人のオオカミ型の月の妖精とお友だちで、その子は普段目付きが悪いせいで、周りの子達に避けられている。
・・・・・根は優しい子なんだけど、同じ犬のプルでもは苦手かもしれない。
プルは小さい頃、大雨の中森の中で迷ってしまい倒れていた僕を助けてくれたのがきっかけで、あの頃は同じくらいの大きさだったのに、プルは犬型のなかでも地球でいうシーズーという種類に似てて、いつの間にかドラゴンの僕だけがどんどんと大きく成長してしまい、今ではプルと僕は仲は良くても姿が大分変わってしまった。
僕とプルは同じ雲の妖精でも、種族が違う。
僕の種族は『ペアレインドラゴン』
プルの種族は『ペアレインプーチ』
つまり、犬とドラゴン。
ドラゴンの僕は、小さな犬のプルに恋をしてしまったのだ。
ていうか!どうして神様はこの星に、ドラゴンなんて種類をいれたんだ。せめて種族がちがくても、もう少し小さな種族がよかったなぁ。
「・・・・ユニン?どうしたの?」
「・・あっ!ううん、大丈夫だよ。ちょと考え事してただけだから。」
「そっか・・・なにかあったら、私に相談してね。私にとって、ユニンは大切な親友だから・・・」
プルには悪いんだけど、悩みの原因はプルなんだよ?
ああ、
ドラゴンと犬は、たとえ妖精同士でも、結ばれるのかな。
もしも僕がドラゴンじゃない姿でプルに出会ったら、今頃気持ちは伝えていたのかな。
プルと同じ目線で、この世界を見ることができた?
プルと同じ種族だったら、僕と同じ気持ちになっていたのかな?
うーん、よくわかんないや。
でも一つだけ、僕でもできることは
――君にとっての、一番の存在であること。
それが僕の一番の願い。
『たとえ姿がちがくても、君を思う気持ちはとても綺麗な形をしているから。』
そんなことを思いながら、僕たちは大きな空に向かって、翼を広げて飛んでいった。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました!
このお話が良かったと思う方は、ぜひコメントで感想を書いてくださると、こちらも皆さんの感想を聞くことができて、改善できることがあるとおもうので、よろしくお願いします!
もしもお話が良かったら、連載の方で続きを書きたいと思います。