わくわく、ベースキャンプ!
「まず、食事の前に全員風呂に入るように。
飯は魔術で保温しておく。とにかく清潔にしろ。」
レイリーがそう言ったとたん冒険者達は風呂場に送られた。
追加で声だけが響く。
『着ていた服は最後全部浴槽にいれるように。
とりあえずの着替えというか寝巻きと下着は用意してある。今晩は何があろうと出撃にしないから安心しろ。なので耳の裏から爪の中まで綺麗にしろよ。』
浴槽には温かな湯が溢れている。
洗い場には人数分のタオルと桶の他、石鹸やらシャンプーやらも完備されている。
腹はなるが仕方がない。
エグゼは仲間を振り返り言った。
「お望み通り清潔とやらになってやろうじゃないか。
怪我しているやつのことは皆で手を貸してやろう。さて、先ずは汗と泥と血を落とそうぜ。」
ムキムキだろうが厳つかろうがゆったり湯につかれるのは嬉しいものだった。
男達はうきうきしながらめいめいに石鹸やら桶やらタオルに手を伸ばしたのだった。
エグゼ率いる冒険者部隊は人種の坩堝だった。
人族は三分の一しかおらず、他種族いりまじるといわれる冒険者でも珍しい編成だ。
どちらかに偏るか、同じ種族で固まるかが多いのが普通だ。
なので更に三分の一の女子冒険者達も多種多様な種族だ。
人族は一人きりで後はもう獣人やら魔人やらである。あまり外にでない扱いが難しいと言われるエルフやドワーフもいる。
「はぁ~
生き返るわぁ~」
ダイナマイトボディな魔人の戦士が湯につかり体を伸ばすと至福の声をあげる。
レイリーとナギも女性陣と共に入浴中だ。
「しっかし黒薔薇と組めるなんてラッキー。
ほんとにもうどうしようかと思ったんだ。魔国が撤退してね、あいつらエグゼさんが居ないすきをついてアタシらに声かけて来てさ、融通してほしかったら相手をしろって言ったんだよ。
断ったらここに移動させられるわ通信機壊されるわ…散々だったんだから!」
プリプリと猫の獣人の少女がいいつのる。
エグゼの一団の女性陣は少女から熟女までそこそこの綺麗どころやら魅惑的な体をした者が多く、男性の多い現場では色々危険もあったようだ。
「はぁ、ろくでもないな。
被害者は居ないか?もし腹の虫が収まらないなら全裸で逆さ釣り位は今すぐにでもするぞ?」
「すぐにそんなことしようと思うのはレイリー位です。
しかし被害者がいるならば私も天罰を下しますわ。」
「はっはっは、過激ねぇ。
でも心配してくれてありがとねぇ。大丈夫、わたくし達場数は踏んでるからさぁ、うまいこと逃げてたからねぇ。」
妖艶、という言葉がぴったりくる年齢不詳マダムにウインクされた。同姓であってもドキドキとしてしまうような妖艶さである。
男性陣にとってはたまらないだろう。
そんなやり取りをするうち、何事もそつのないレイリーはもちろん人見知りのナギも冒険者達と打ち解けていったのだった。




