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匠の技。

狭間の森で冒険者達に与えられたベースキャンプ地は、魔国が去ったあと一番端の陽のほとんど当たらない場所へと変えられてしまいました。

そんなわけで先ほどの襲撃で一番の被害を受けた冒険者達。

しかし、雇い主である各国は自分のことは自分でが冒険者の基本だと食糧どころか火種さえ貸してはくれませんでした。

怪我人も出ているため撤退を願い出ましたが、許可ももらえません。

狭間の森に夜が来ようとしていました…




トンテンカン、トンテンカン



「いくぞー」「はいっ」「声揃えろ!1、2、3!」



ドドドーン、カンカンカンカン



「3センチずれてる!右に半歩下がってからおけ!」「こうですか?!」「バカ野郎1センチ余計だ!」



トトトトトトトトトトトトトトトトトト…



「ごはん後少しでできますから、頑張ってくださーい!」『おっしゃああああ!!!!!』



トンテンカン、トンテンカン、カンカンカンカン、ドドドーン、カンカンカンカン、トトトトトトトトトト…




「おっし、おいレイリー終わったぜ。」



「お疲れ様。さすが速いな。皆怪我もあったろうに。」



「本気で食糧ヤバかったからなぁ。うまいもん食えるなら多少の無理はするさ。

とにかく体力維持をしなきゃならんからな。

普通ならドラゴンモドキでもなんでも森で狩って…ってするが魔術での突然変異やら暴走やら起きてるとこのモノを食うのなんぞできん。

うっかり食べて死ぬならまだしも化け物になったりしたら目もあてられない。」



襲撃され半壊していた冒険者のベースキャンプはレイリーの魔術により一掃され、レイリー作成の図面をもとに冒険者達が柱を立てる作業をしていたのだった。

ちなみに、食糧も火種もない&貸してもくれない事態にさすがのレイリーも驚いた。

渋るナギを連れてアイオーンのところに交渉へ行ったが、(しもべ)となった各国の者達に阻まれ話すらできず頭にきたので、今後はお互い干渉しないという誓約をナギ立ち合いでやってやった。

誓約は神に誓う事から人同士の契約より重いとされる。しかも神官が…実力者のナギがやったのだ。

破れば大変なことになる。

きっとこれからレイリーがすることでなんやかんや言ってくるだろうから楽しいザマァタイムが来るだろう。



「んで?

柱を立てたがどうするんだ?天幕張るにしても長さや高さ太さも違うだろう。」



エグゼの問い掛けに、レイリーは笑った。いや、嗤った。

とても悪どい顔だった。



「ふふ、今に見てろ。

すごいの作ってやるから。」



そうして冒険者達を一ヶ所に集め、レイリーは呪文を唱え出した。

森に影響を出さないため、ナギに冒険者に与えられたスペースを囲うように結界を張ってもらっているので(目隠し加工済)安心安全だ。

キラキラと柱が、レイリーが輝き、幾重にも魔方陣が浮かぶ。

それはそれは美しい光景であった。



『創成せよ。』



最後の呪文を唱えた時、辺りは光に満ち、強すぎる光に誰もが目をつぶった。

そうして再び目を開くとー…



そびえ立つ白い壁の外壁に囲まれたベースキャンプの中央には、森全体を見渡せるほどの高さを誇る物見櫓(ものみやぐら)があるではありませんか。

その物見櫓を囲むように半円状の建物があり、その中央部分はガラス窓となっており食堂となっています。

二階建となっている右半分の建屋は男性達の宿舎で大きな浴室、そして複数のトイレもついている造りです。

一階建ての左半分の建屋は女性達の宿舎で浴室、シャワー室、トイレ完備となっています。


今まで、討伐依頼やクエスト中は地べたに建てたテントで雑魚寝が基本の冒険者にとっては夢の設備です。







「なぉ、食材・食器・寝具全て魔王からゆす…いや、必要経費としておとしてあるから遠慮せず使うといい。」



「魔王をゆすったのか。」


「さすがレイリーね。」



微笑するレイリーに呆れた視線を送るエグゼとナギ。

他の冒険者は突然の建造物に目を剥いている。



「外壁に近付いてみてくれ。」



「っおい!

外が見えるぞ!!!」



一番外壁に近かった冒険者が驚きの声をあげた。

皆が側に行くと、白かったはずの外壁が透け、外の様子が丸分かりである。



「二メートル近付けば外の様子が見えるようになっている。

外壁自体にも簡単な防御術は施してあるがナギに更に結界を張ってもらう予定だ。

なおかつ私が認証した人物以外はこの中には入れない仕組みだ。

外のやつらは知らん。はっはっはっ!」



「レイリー、最高にいい顔をしてますわ。」


「えげつないことしてるときが輝くってどうなんだろうか…」










エグゼ「才能の無駄遣い甚だしい。」


ナギ「多少の不便は覚悟したのに、まさかの厚待遇。

でも、終わったら解体でしょう?

無駄じゃなくて?」


レイリー「ふっ、誉め言葉として受け取っておく。」



「「誉めてない。」」

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