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愛、それは痛みを伴うもの(物理的)

【ねぇねぇ、魔王様。

私怒ってます。激オコプンプンマル。】



無表情な少女の頭上に文字が踊る。

プンプンマルは赤字で暴れまわっている。

なおかつ、プンプンと擬音も文字となり踊っている。

しかしその表情筋は死んでいる。可愛らしい顔なだけに残念だ。



「僕も怒ってますよ。遊びすぎです。」



銀縁の眼鏡をかけた背の高い男が穏やかに言う。

糸目で大変穏和そうな文官である。

だがしかし、いつも書類を持つ手にはモーニングスターが握られている。

ちなみに少女の手にはメリケンサック。

ちなみに赤毛に黒い瞳の少女も文官である。普段は同じく書類とペンを持っている。


簀巻きにされた魔王はちょっと身の危機を覚えた。

普段穏やかな人が怒る方が怖いものである。ちょっと短気な近衛のファルコや魔王に関してだけ手が早い(打撃的に)側近のセイランと違って糸目の文官が怒ることは滅多に無いのだ。

なんというか空気を居るだけで穏やかにさせる存在。

それが彼であった。

魔王より少し年上であり、さんざん頼りきったというか現在進行形で頼っているお兄さん的存在である。




【マイズルさんが怒ってるなら魔王様が悪い。

ポンコツは叩けば治るって前にセイランが言ってました。

だから大人しく叩かれるといいです。】



糸目文官ことマイズルは内務長官で国の色々を取り仕切っている大変有能な人だったりする。

基本責任とるから任せた!的な魔王に無くてはならない人の一人だ。

温厚篤実なマイズルが怒ることは滅多に無いので、それだけでギルティである…というのが城の面々の見解である。



「まて、話し合おう!

ほら我々は言葉を持っている。信仰や文化、言語の差はあれど分かり合える。」



「魔王様、私もねそう思ってきたのです。

だからこそ、間も取り持ちましたし緩和材として動きもしたのです。

その結果が、腹痛を訴えトイレにこもると見せ掛けての脱走。しかもかなりの人に迷惑をかけた事をご理解していない。

子どもよりもたちが悪いと言うか、大人になってください。

責任感を持ちましょう?

一国の主でしょう?」



「いやー、俺はいつまでも少年の心を忘れたくない人間だからさぁ。ちょっとしたいたずら心を忘れたくないと言うか。」



ハハハッと明るく笑ってふとマイズルを見た魔王は、己が過ちを犯したことに気付いた。

マイズルは微笑んでいた。

ソレハソレハ、禍禍しく微笑んでいた。

あっ大魔王ってこんな感じ?と魔王が思ったときはモーニングスターが目の前にあったのだった。












魔王「マジで痛いし。」


マイズル「普通なら頭がぐしゃーなんですけどねぇ。残念です。」


魔王「残念ってなに?!

うわぁー頭にこぶできたぞ!というかグシャーなったら不味いだろう!?」


マイズル「魔王様が強い子だって、信じてますから。」


魔王「清清しいほどのいい笑顔…!!!」





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