あらら、アンニュイですか。
お久しぶりです。
年末までにはもう一度更新したい…
「なんーだ…全然…似てなかった。
髪の長さと結んだ感じ位しか似てなかったんだぁ…」
チャラ男神官見習いを見送った後、アーリヤがポツリと呟いた。
「ん?誰かに似ていたのか?」
ネイバンが問いかけるとアーリヤは苦笑いをした。
見た目は子犬の柴犬な魔獣ホクトを抱き上げ撫でながらぽつりぽつりと話す。
「治してあげたい人がいたの。
でもね、消失してしまった体の欠損は復元できないんだって。
でもね、治せるはずだって絶対見つけるって喧嘩しちゃって会わなくなった人がいるの。」
「家族か?えっ…!?あっ、もしや恋人か!!!????」
「ちがうよ。
でも…家族じゃ、ないよ…でも大事な人だよ…」
驚きつつ聞くネイバンに沈んだ声でアーリヤが答える。
そんな声ははじめて聞いた。いつも元気でニコニコしている印象しかなかったからだ。
ネイバンとは別方向の窓を見ながらなのでその表情はうかがい知れないものの、おそらく物憂げな顔もしているのだろう。
「…会いたい…なぁ…」
「意地張らずに会ってやればいいだろう。
あいつは気にするやつじゃないさ。アーリヤ次第だぞ。」
低い男の美声が響く。
ネイバンはぎょっとした。
今まで誰も居なかった場所…カウンターに肱をついた男が現れたからだ。
全身黒ずくめで長い髪すら漆黒の男は神がかった美形で、魔人の特徴でもある少し尖った耳をしている。
認識した瞬間、威圧感と魔力の多さで目眩を起こした。
ぶるりと震えも込み上げ、ネイバンの意思とは関係なくガタガタと手足が震えだし止まらない。
嫌な予感しかしない。
自分の目の前にいるこの男は…
「おっと、これは失礼。
ウチの者が世話になっているな、店主。感謝しているぞ。」
それはそれは美しく男が微笑む。
まるで至高の芸術品のようだか、所の奥に潜む禍々しさをネイバンは感じた。
男の美しい指先が鳴ると、とたんに震えや威圧感は霧散する。
「えっ!?
魔王様どうしたの?サボりなの?」
「えっ!?
なんでわかったんだアーリヤ!?」
ネイバンの背に冷や汗が流れる。
キョトンとしたアーリヤの言うことが正しければ目の前の男は『魔王』。
穏健派とは言われるが魔力と国力が世界一を誇る魔国の王。
神に近しい程と言われる実力はなにもしなくても恐怖を生む。
そんな男の登場に目の前が真っ暗になりそうであった。
メリークリスマス!
今日は楽しいクリスマス!
まぁ仕事ですが。




