後ろに気をつけて!
「んー、じゃあ俺が回収してやるよ。アーリヤ。」
魔王が笑って立ち上がる。
レイリーは眉を潜めた。
「魔王、暇なのか。
なら手伝えよ、私を。おまえ手伝えば三日で終わると思うぞ。」
「いや、笑顔無しのセイランにメリケンサック装備されて背後に立たれて仕事を催促されるくらいには詰まってるぞ。」
「私が言うのもなんだけどさ、なんでお前がきた?
別にセイランでも良かったんじゃね?あいつ私並みに有能だろう。」
「周囲との調和とか諜報とかえげつなさ分野を加えるとセイランの方が格段に上だな。
あいつやる気になったら怖いゾー。」
ふむ、とレイリーは頷いた。
セイランというのはレイリー達の同郷の一人。
化物級と言われるレイリーをも凌ぐ魔力を誇る六つ上の男の事だ。
万能特化型と言えば聞こえはいいが、要は高性能器用貧乏の人である。現在、魔王や外交の補佐をしているとは聞いている。
「魔王や、そんなセイランからどうやって逃げてきたんだ?」
「腹下してトイレに行くっ!て言って出てきた。」
「…だ、そうだ。」
「ずいぶん長いトイレやなぁ。待ちくたびれてもうたわ。
迎えに来たで?」
ギギギギギッと壊れかけのからくり人形のように魔王が振り返った先には、微笑んでいるけど目が全く笑ってないセイランが立っていたのだった。
いったんここで上げます。
調子が悪いため、次の更新は金曜日(9日)です。




