テクニシャン!
「ネイバンさん!小さい毛布と箱下さいな!」
「キャンキャン!」
元気に扉に付いた鈴をならし、アーリヤと子犬が店に入ってくる。
「アーリヤ、俺の店は何でも屋じゃねぇよ…
まぁ、あるけど。」
なんでも揃うが売りのネイバンのアイテム屋である。
奥の部屋に一旦入り、ブランケットと布貼りしてある箱を持って戻ってきた。
「なんだっけ、マックだっけホックだっけ?連れてるの珍しいな。いつもは引っ込めているのに。」
「ホクトだよ、ホクト!
うん、レイちゃんとナギちゃんどちらも召集されて一人だからちょっと寂しくて。」
眉を八の字にして笑うアーリヤ。
おそらくちょっとどころでなくすごく寂しいのだろう。
アーリヤは二人に比べれば普通の人間だった。
治療師としての実力は中の上かギリギリで上の下。
召喚術が使え凶悪な魔獣を従えはするが、本当に困った時や他の二人がいるときでないとめったに出さない。
一度、ネイバンより二回り大きい魔獣を召喚したのを見たが、あれは物凄い怖かった。チビるかと思った。
「アーリヤ、お前ナメられやすいんだったら普段から魔獣連れて歩けば良いだろう。」
「いやー、それはちょっと。
私にとっては可愛いですけど、みんなにとっても可愛いとは限らないしもの。
女の子の可愛いは範囲が広すぎて信用ならんって前に言われたことありますもん。」
「それは激しく同意するな。
嫁と娘の可愛いの範囲も広すぎて訳が分からないし、お互い相いれない可愛さの差もあるからなぁ」
「私は怖がられたい訳じゃなくて、できるなら仲良くしたいので。
それに護身術でなんとかなりますもん。」
護身術というよりは過剰防衛術である、とネイバンは思ったがあえて言わなかった。
急所を最低限の力で的確につくやり方はえげつないがすごいと思う。
「まぁなぁ。
いやー、それにしても可愛いなぁホクト!
撫でても良いか?」
ネイバンはちょっと強面だが小動物スキーだった。
名前はうろ覚えだったけれと。
「キャンキャン!」
「良いって言ってるよ。」
「よーしよしよしよし!
かわいいねぇ!かわいいねぇ!!!」
アーリヤからホクトを受け取ったネイバンはデレデレしながら、ホクトを撫でまわした。
小動物スキーだけあってその手つきは的確かつ気持ちいいらしく、はやくもホクトは腹を見せてキュンキュンないている。
それは、いわゆるムツゴ○ウ的な可愛がり方であった。
アーリヤ「ネイバンさんは動物好きなのになんで動物使いとかにならなかったの?」
ネイバン「育てたり可愛がったりするのは得意だが、戦わせたりショーをさせるのは苦手だからなぁ。
後、親父の店を急遽継がなきゃならなくなったんでアイテム屋以外考えたことも無かったな。」
アーリヤ「なるほど。」
ネイバン「趣味でペットホテル始めたけどな。けっこう評判良いぞ!」
アーリヤ「なんか色々頼んでる私が言うのもあれですけどアイテム屋の範囲越えてる!
そのうち何でも屋に本気でなりそうですよ!」