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娯楽のない世界

隆の質問を聞くと、それまで活き活きと輝いていたロールの顔に陰りが見えた。ロールは隆から少し目をそむけると、申し訳なさそうに話しだした。


「ハッキリと申し上げると。現状、元の世界に帰る方法はありません。」


目の前が真っ暗になったように感じた。何かの間違えではないだろうか?これだけ科学が発達しているのだ。それも、さっきまであれだけ異世界に関する研究について語っていたではないか。それで、帰る方法がわからないなんて。


「異世界の存在が証明されたこと自体が最近のことなのです。なので、まだヴォレの原理は完全には解明されていないのです。」


申し訳なさそうに話すロールに、隆は思わず机をバンっと叩きたち勢い良く立ち上がった。宙に浮いた椅子が後方に少し飛ばされて止まった。


「そんなっ、、、じゃあ、、、僕はこれからどうすればいいんですか!!」


ロールに落ち度がないのは明白である。完全に八つ当たりだ。しかし、ロールはそんな隆に怒るそぶりもみせず、落ち着いてじっと隆のことを見つめた。


「たしかに、今は帰ることができません。しかし、異世界の研究は現在急激な進歩を見せています。今回、隆さんが異世界かた飛ばされてきたことにより、貴重な情報も得られます。なので、必ず、帰る方法を見つかります。」


そう話すロールの目は自信に満ちていた。椅子を乱暴につかみドカっと腰掛けた隆はしばらくイライラと押し黙っていた。5分くらい経っただろうか。しばらく宙に浮いた椅子んい揺られていると、段々と落ち着いてきた。落ち着いてくると、この状況はむしろ楽しむべきなのではないかという気がしてきた。異世界に飛ばされるという、あまりにも奇妙な状況に少し慌てていたが、元来、隆は楽観的な人間であった。

(科学が異様に発達した世界とか、、、冷静に考えると、、、メッチャかっこいい。色々見てみたい。まあ、現状帰れないという問題はあるけれども。これだけ科学が発達しているんだ、そのうち帰れるだろ。てか、帰れなくても、、それはそれで楽しいかも?)


「八つ当たりしてすいませんでした。とりあえず、この世界でゆっくりしたいと思います。」

そう謝ると、ロールは優しく微笑んでくれた。





異世界ののことを受け入れると、まず隆は異世界研究者から色々と質問された。特に、ヴォレの直前の状況には興味を持ったようで、事細かな質問を受けた。やっと質問攻めかた解放されると、ロールが今後の生活の説明をしてくれた。まず、研究所レサチオンの異世界研究所内に臨時の宿泊施設が設けられた。その宿泊施設がまたすごかった。スイッチひとつで体を自動洗浄してくれるバスルーム。しかも、浴槽もしっかりとあり、なにやら色々と効能のある温泉がはられている。ベットは、見た目硬そうなマットレスがあるだけだが、これまた先程の椅子のようにフカフカしれおり、しかもボタンひとつで重さをほとんど感じない毛布が出てくる。などなど、説明してもしきれないだけの設備が整っていた。いきなり異世界に飛ばせれたなどと言われて疲れただろうと、今日はもうこの施設で休むことになった。明日はまた別のところを案内してくれるらしい。

部屋にある時計を見ると、もう21時であった。特にお腹もすいていなかったので、お風呂に入ったのち、ベットにゴロっと寝そべった。一人になると、色々な考えが頭の中をぐるぐると回った。

(親は俺のこと心配しているかな?というか、あっちの世界も同じように時間が流れてるのかな?)

一人でこんなことを考えていると、どうも気が滅入っていけない。なにかをして気分転換しようと思ったところで、あることに気がついた。

(なんか娯楽みたいなものないのかな?)

大したことでもないが、なんでも気になったら連絡するようにと腕時計を渡されていたので、隆はロールに連絡をとってみることにした。


「あー、、ロールに繋いでくれ。」


腕時計に向かってそう言うと、呼び出し音のようなものが流れた。


「やあ、隆くん、なにか不都合でもあったかい?」


すぐに腕時計からロールの声が聞こえてきた。


「いや、不都合は全然ないのですけど。この世界の娯楽というかなにかゲームのようなものがあったら貸してほしいなと思いまして。」


「ゲーム、、、」


「いや、簡単なものでいいんです。遊んでいるほうが気分が落ち着くので。」


考えるような間があった後、ロールの口から衝撃の事実が告げられた。


「この世界に、そういうたぐいの娯楽はないよ。」


今度は隆が固まる番であった。


「、、、、、は???」

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