超科学国家シエント
あと2話くらいで戦闘シーンを出したいと思います
(異世界??何言ってるんだこのオッサン?)
あまりにも突拍子もないことを言われて、反応できずにいると、優しい声の男は諭すように喋り始めた。
「まあ、いきなり異世界などと言われてもピンとこないだろう。とりあえず、自分の目で確認してみるといい。」
プシューっという音とともに自動ドアが開いた。ドアの外には金髪ロン毛のイケメンが立っていた。
「こんにちは、私はロール。異世界研究部門の部長を努めさせていただいております。」
どうやら、こちらの金髪イケメンが先ほどまでの声の主のようだ。男の放つ上品なオーラに隆は圧倒されてしまった。
「ど、どうも、榊原隆です。」
ロールは隆にニッコリとほほ笑みかかけると、右手を後ろの通路にむけて言った。
「では、榊原様、こちらへどうぞ。ここが異世界であるかどうか、ご自分の目で確かめてみてはどうですか?」
どうやら、まだこのロールとかいう男は異世界であると言いはるらしい。しかし、ドッキリであればそろそろバラしてもよい頃合いだ。本当に異世界なのだろうか。ロールの口調には説得力があったし、なにより、自分はトラックに轢かれそうになっていたという鮮明な記憶がある。それなのに傷ひとつないところを見ると、異世界にでも飛ばされたと考えてもおかしくはない。
(まあ、とりあえずついていってみるか)
「では、案内をお願いします。」
隆がいた部屋を出ると、アニメに出てきそうなSFチックな廊下が広がっていた。白基調の壁のいたるとことに何かの機械らしきものが設置されている。廊下をまっすぐに進んでいくと、大きなドアらしきものが見えてきた。分厚そうな扉で、横に鍵を開けるための装置と思しきものが設置されている。ロールが扉に近づくと、その装置から赤色の光線が出てきて彼の体をスキャンした。すると、ロックの外れる音とともに扉が開かれる。それだけでも充分に驚愕にあたいするものであったが、扉の先の光景を見て隆は言葉を失ってしまった。吹き抜けの天井。ガラスで仕切られた無数の研究室。そして、それぞれの研究室の中には、今まで見たこともない機械が並んでいる。なかには、何やら得体のしれない植物がウネウネと動いているものもある。
「ようこそ、こちらがレサチオン異世界研究部の研究所です。いかがですか?」
そういって、ロールは研究室全体を優雅に見渡した。
(どうでしたもなにも、、なんじゃこりゃ?)
もう認めるしかなかった。隆は、異世界に来てしまったのだ。しかも、やたらに科学の発展した世界に。
「とりあえず、自分が異世界に来てしまった、ということがハッキリしました。」
それを聞くと、ロールは嬉しそうに笑い、隆を研究室の一つに招き入れた。
「さて、そちらの椅子にお掛けください。」
椅子が、、、浮いている。しかも、見た目は硬そうな素材であるにも関わらず、座ってみると、フカフカである。隆が椅子に腰をおろすと、ロボットがコーヒーらしきものを運んできて目の前の机に置いていった。香りもコーヒーに近い気がする。
「まず、そうですね、なにかご質問はありますか?」
ロールは自分の分の飲み物を口にすると、唐突にそう尋ねてきた。
「質問ですか、、。ありすぎて、何から聞いて良いのやら。」
とりあえず、考えをまとめようと、隆も飲み物を口にした。見た目だけでなく、味もコーヒーそのものだ。コーヒー(らしきもの)を飲むと少し落ち着いてきて、状況を冷静に考えることができるようになってきた。
「そうですね。まず、引っかかっている点があります。」
「ほう、それはなんでしょうか?」
ロールは興味深そうに隆を見つめてくる。隆には最初からずっと引っかかっていることがあった。
「あなたは、話をする前から、僕のことを異世界人であると断定していました。なぜわかったんですか?」
ロールは隆の質問に、我が意を得たりといった様子で興奮して話しはじめた。
「とても良い質問ですね。それこそ、我々異世界研究部の大きな成果の1つなのです!!実は、、、、、」
ここからロールは10分間もの間自分の研究について語り続けた。よほど自分の研究が好きなのだろうが隆の頭には半分くらしか入ってこなかった。大体、隆のいた世界とは技術力に差がありすぎて理解できない点が多すぎるのだ。ロールの話を理解できた範囲内で要約するとこうだ。この世界には、以前にも異世界からの来訪者があったらしい。といっても、それはかなり昔の話であって、文献に残っている程度であったそうだ。しかし、20年ほど前に異世界の研究に興味を持った科学者がいたらしく、この世界の異様に進んだ技術力を結集して、異世界の研究がなされてきたという話だ。そして、5年ほど前に革新的な発見があった。その発見により、異世界が確かに存在することが実証され、さらには異世界から来たものを判別できるようになったという。そして、異世界間の移動を「ヴォレ」と呼ぶようになったらしい。ヴォレについてロールは熱く語ってくれたが、理系大学生の隆でも何を言っているのかサッパリであった。とにかく、そんなこんなで、隆は異世界から来た人間だとわかったらしい。しかし、一番重要なのはそこではない。隆は一番大事な質問をロールに投げかけた。
「それで、僕はどうやったら元の世界に帰れるのですか?」
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