第5章
翌日、弘樹はボスの所に連れて行ってくれた。
「ココだ。見た目はちょっとおっかないけど、割といい人だ。お前のことは昨日、電話してあるから。まぁ、入って待っとけよ。ボスは、仕事中だと思うし」
弘樹に押されて入ってみる。部屋は弘樹のところより大分大きい。いや、部屋というより事務所みたいだった。
俺が珍しく事務所を見渡していると
「お前か。俺に逢いたいって奴は」
後ろから声がした。
振り返ってみるとそこにはいかにもやのつく職業をしているとしか思えない大男がいた。
「…………」
臆病だった俺はその大男をみて何もいえなくなった。
『すぐにかえろう』
長い沈黙の後、俺はそう思った。
『いつものように家に帰ればいい。そのほうがいい』
俺は帰ろうとした。
「まぁ、座れや」
大男はそう促した。俺はすぐには帰れないらしい……
俺は指定されたソファーに腰掛けた。
「で、俺に話があるんだって?」
その声が、大男の中から出している声とは思えない優しい口調で俺に尋ねてきた。
その声に乗せられて俺は少しずつ話していった。
今まで信頼してきた親のこと
その親に裏切られたこと
自分は捨て子だったこと
自分は親にとっていらない存在だったこと
チンピラに絡まれて袋叩きにされたこと
それを助けてくれたのが弘樹だということ
大男はあれの話を真剣にきいてくれて時には相槌を打ってくれた。
「弘樹からきいて思ったんです。『俺はココでやり直せる』だから俺をココにおいてください!!」
大男は少し戸惑ったような顔をしていた。
「置いてやるのは別に構わないんだけど、お前には少し困難な世界だぞ?」
「それでも構いません!!」
「………後悔しても遅いからな」
大男の言ってる意味が理解できるようになるのはもう少し後になってからだった。
しばらく更新が空いてしまいました。。
PCが使えなくて。。
まだまだ過去話続きそうです。
どうかお付き合いください><