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生まれて

目を覚ますと人の良さそうなおばちゃんが最初に目にはいった。


っていうか俺、めっちゃオギャアオギャアいってる。体が思うように動かない。いやいやするように手足をバタバタするだけ。


不安、息苦しさ、眩しさ、それらがごっちゃになって考えもまとまらない。


「●%▲★※▲%‡△▲」


おばちゃんはなんかいってるがよく分からない。しかもだんだん疲れてきた…………。


なにがなんだかよくわからないまま、俺は寝てしまった。












おはようございます。目が覚めました。知らないうちに若い女性の手の中で寝ていました。


意味わかんない。ヤバい。


お腹減った。涙出そう。


「オギャア、オギャア」


「■%〒&▲♭§△★、※#▲※■△&」


何言ってるかわかんないけど優しく話しかけてくる。そしておもむろに胸を出してくる。


若い女性がそんなことしちゃダメっと思ったのもつかの間、意に反してむしゃぶりつく俺。ごくごくと飲むとだんだん落ち着いてくる。そして、また眠気が襲ってくる。


考えなきゃいけないことが、山ほどあるのに…………!


必死に眠気に対抗したが、意識は泥のなかに沈んでいった。












おばちゃんを初めて見た日、やはり俺は赤ん坊として生まれたらしい、ということが1ヶ月ほどたってようやくわかった。


恐ろしいことに、赤ん坊の体では思考をまとめるのに大変苦労した。


なにせ寝る、腹減る、起きる、泣く、お乳飲む、寝るということ以外が非常に難しい。考え事はお乳を飲んでる間しかできない。さらに、中身は40のおっさんなのでお乳を飲むのが非常に恥ずかしい。


考えても見てほしい。赤ちゃんプレイなんて生まれてこのかたしたことなかったし、そもそも前世では女性経験すらく30歳でついに魔法使いになった俺が女の人の裸を見て落ち着けるわけない。唯一の救いは生まれ変わったとはいえ相手が母親なので欲情することはないということだ。


綺麗でないわけではない。おおよそ日本人離れした美しいブロンドの女性だ。スタイルも出るとこ出てて引っ込むところが引っ込んでるナイスボディーだ。


しかしそこは母親。生物とは良くできていると思った。


そして家。なぜか赤ん坊に個室を与えるほど大きな家。相当いい家なのだろう。いい家だが建築技術は日本に及ばないようだ。しかし一方でちぐはぐなところがある。


エアコンがある。


いや、形はただの木の箱だが側面に格子がついていてそこから暖かい空気が出てくるのだ。そして設置場所が壁の高い所。エアコンに準ずるのは間違いない。


電話がある。


これも、見た目は四角に綺麗に切られた二つの石なのだが片方を耳に当てて、片方を口に近づけなにやら話している様子はまさしく電話である。


電話を使うのは母親が人を呼ぶときに使っているのを見た。


時代やら技術がわからないし、そもそもまだ部屋の外にすら出ていない。


ユースティアとやらが違う世界っていってたし常識は通用しないのかもしれない。



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