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「まったく。こっちは警察から頼まれて断れないから渋々来たっていうのによお。とんだ災難だぜ。あ? 聞いてのかホルスタイン?」
「ホ、ホルスタイン……」
みちみちと音が聞こえる。総統の服のボタンが弾ける音なのか、それとも堪忍袋が切れる音なのか。
どちらにしろ、爆発する前になんとしかなければならない。俺とオルトさんが間に入って両者を引き離す。
「まあまあ。ね、二人とも落ち着いて」
「「あ?」」
俺の小さなハートが蛇に睨まれたカエルのようにになりかけたが、すんでのところで踏みとどまる。怖いけどひるまないぞ。背中をヒーローに預けているのだ。この話を持ちかけた俺がひるんでいたら格好がつかない。
オルトさんは小さい体で四人を精一杯抑えているのだ。引き下がる訳にはいかない。
「とにかく。これ以上は本当にまずいですって総統」
「あんだけ馬鹿にされて引き下がったら、今後もナメられるじゃない!?」
「ほら、ここで手を出さず収めるのが総統の器というか」
「じゃあ、私総統辞めるもん!」
「もん!? もんってなに!!?」
突っ込みどころはそこじゃない。後ろをチラと確認するとオルトさんも赤ヒーローの肩を掴んで抑えている。うん、身長が足りないからシュールな光景だ。
「戦闘員の皆さんも止めてくださいよ!」
「イー!」
「それは肯定なの? 否定なの?」
まったく役に立たなかった。顔が見えないから断定はできないけど、たぶんこの人たちはこの状況を楽しんでいる。
そんなのね、商店街組合のオッサンたちだって出来るからね。遠くにいる分まだあっちの方が――視界の端に写ったサンバカ商店街の面々も酒を煽りだしていた。あ、ダメだわ。どっちも役に立たないわ。いないほうがいいわ。
「ああ、もう酒持ってきて酒! こんな茶番飲まないでやってられないわ!」
キリカさんはついにガソリンを要求した。ダメだこの人早くなんとかしないと。
「イー!」
「あ、これは肯定の『イー!』だな……って、待て待てだめだってそんな!」
ガソリンまで注がれては、もう俺には止められない。ゲロゲロバーでレロレロバーだとダイナソーなのである。
俺の制止も虚しく、サンバカ連中のいる方へと走って行く雑魚戦闘員たち。
状況は悪くなる一方だった。正義と悪に和解の気配はなく、遠巻きにいる彼は役に立たず、俺の声はキリカさんに届かない。
仕方ない。こうなっては、出し惜しみは一切なしだ。アレを使うしかあるまい。出来れば使いたくなかったと右腕に左手を添える。すまない父よ、母よ。先立つ息子をお許し下さい。
「ええい、ままよ! 南無三! 皆の衆、刮目してみよ! 子どもたちはちょっとだけあっちを向いててね! 比呂川家に代々伝わる宴会芸『酔拳三の型シリーズ四十八手の舞』に独自の理論と解釈を加えることで生まれた秘奥義『ナイト・オブ・フォーティエイトハンド~三分の一の純情な感情~』だ!」
両手を中段に構える。それまで暴れていたキリカさんがぐっと身構える。
怖かろう怖かろう! 当然だ! 俺だってこの後、社会的地位とせっかく築き上げた信頼関係(忠告しても『黙って』と睨まれる程度)を犠牲にするんだからな!
でも何故だろう。抑えきれないんだ、この高ぶる感情を。
魂の内燃機関にはとっくに火が付いている。下心エンジンは高速回転で、中枢系はあらゆる命令をすっ飛ばして、とにかく回せ回せと囃し立てる。
我は獣なり。我は獣なり。我は獣なり! 回せ回せ回せエンジンを! 歯車が欠けても止まるな! 一度止まれば最後なり。理性と羞恥に潰されるぞ。
自己暗示は厳重に三重に。ここからはもう、紳士としての比呂川マモルはいない。理性は駆逐され、本能が体の優先権を獲得する。
「イクぜ」
全隊ススメ。目標、九六高地。バスト登頂開始。
「ッ!?」
異変を感じたキリカさんは、やや引き気味に後退し距離をとった。しかし、エンジン全開で猛獣で猛将と化した俺は、その着地の一瞬の隙を見逃さなかった。
「背中がお留守ですよ」
俺はすぐさま彼女の背中に回り込み、開いた脇から手を差し込む。
「秘奥義! ソイ・カウボーイ・ルーレット!」
『ただの羽交い締めだ!?』
叫んだのはサンバカ商店街のオッサン店主たち。ただならぬ気配を感じ取ったエロ学派共が、目に焼き付けんとばかりに集い来る。
『ソイ・カウボーイ・ルーレット』は夜のサッカーシーンに燦然と輝くスーパーテクニックだ。『出会って三秒シリーズ』とか『夜の逃走中シリーズ』では、ある種伝説と化している秘技中の秘技である。
逃げ惑うドスケベ女優の後ろをあっさりと取る姿は、正に円盤を滑るボールである。かのイーグル師匠も、その類まれなる技術に賞賛の声を贈ったという。
しかし、それだけで終わらないのが秘奥義『ナイト・オブ・フォーティエイトハンド~三分の一の純情な感情~』だ。
見てろよ、オッサンたち。俺の翼は二度舞うぜ?
『……いや、ただの羽交い締めじゃない!?』
「取った!」
腰を密着させ間合いをゼロにする。そのまま腕をクロスして、右手に左を、左手に右を。精神を統一し、意識を集中させる。
下心エンジンは、種馬換算でざっと一五〇〇馬力の数字を叩き出す。気力十分。万感の思いと、そして産毛を撫でるような繊細さを以って――――揉むっ!!!
「双子山登頂だあああああああああああ!!」
『うおおおおおおおおおおおおおおおお!!』
盛り上がる会場の野郎ボイス。本日最高の盛り上がりであった。
失うもの? 何もないじゃないか。だって俺にはこんなに応援してくれている人たちがいる。
「ななななななな!!」
「な?」
「何をやって!」
あわわと慌てるキリカさん。突然の出来事に先ほどまでの怒りはどこへやらである。
はは、ここで終わりだと思っているな? どっこい今日は一味違うぜ。俺の翼は三度舞う!
「ア、チョットマッテチョットマッテ、キリカサン」
「は?」
「テイスティングタイム」
「はうわ!?」
野郎どもの生唾を飲み込む音が聞こえてくる。心地いいな。これがクライマーズ・ハイか。
一秒一回感謝の揉みである。
「あっ……だめだってほんと……やめっ! んっ!」
「……」
右左右左。左右左右。いっちにいっちに。
一回一回。感謝を捧げる。
右左右左。左右左右。いっちにいっちに。
やがて俺は、時を置き去りにした。一回揉んでも時計の針は一メモリたりとも進まない。俺の精神はこの右手と左手の感触だけに存在した。
『見ろよ。坊主の目から一筋の光が』
『ああ。あいつ、泣いてる』
ありがとう、ありがとう。
「ほんともう、勘弁、して……」
キリカさんは喘ぎ声にも近い息切れだった。自然、エンジンは加速する。
まだまだ、まだまだ乳神様のお怒りは収まっていないでしょう! 俺はまだまだまだまだ付き合いますよ! 右腕として!
ヒーローたちはこの光景に呆然としていた。オルトさんもあんぐりとこちらを見ている。
俺はキリカさん越しに目配せした。
オルトさん、今のうちに彼らを説得してください。俺がこうしている間に! 友情! 正義と悪の共闘の先に、俺とオルト酸の間には、テレパシーめいた友情が芽生えているのだ。これで伝わるはずだ。
「さあ、オルトさん! ここは任せて!」
右左右左。左右左右。いっちにいっちに。感謝感謝。ありがとうありがとう。フゥッフゥッー!
「……あの、そろそろやめて上げたほうがいいんじゃ?」
側で見ていた赤いのが、おずおずと声をかけてくる。
「うるせえ首ねじ切るぞマザコン野郎! こっちは遊びじゃねえんだ! てめえらはさっさと帰ってママのおっぱいでも吸ってな!」
「あ、はい」
右左右左。左右左右。いっちにいっちに。感謝感謝。ハラショーハラショー。フゥッフゥッー! フゥッフゥッー!
ヒーロー戦隊たちは前かがみになってやがる。この程度に耐えられないとはとんだ童貞野郎どもだな。
「んっ……あっ……」
腰砕けになりそうなキリカさんをしっかり支える。
俺はこの手を離しちゃいけない。総統に土をつけるなどあってはならないのだ。交差をやめて両手を持ち替え、掬い上げるような形でマウントキリカさん(推定標高九六センチメートル、日本有数の活火山)を支える。
「あ、馬鹿! 指! それ、だめだって……」
それにしてもなんという重量感、弾力感。気を抜いたらこぼれ落ちてしまいそうだ。Hは固いなと俺は思った。いや、おっぱいは柔らかいんだけど。正直トップとアンダーの差とかよくわからない。でもさ、このぬくもりはHカップだよ。そうに違いない。今、俺の中でHカップという響きが最高に輝いてる感じなんだ。
なんだろうこの全能感。今なら女神にすらパイタッチ出来る気がする。
「い、いい加減に……」
キリカさんが艶声を漏らす。
「しろおおおおおお!!!」
俺は瞬間、迫り来る拳の存在に気付くことが出来た。間一髪での回避に成功する。
「そんな、オルトさんいったいどうして!?」
拳の正体は、オルトさんの放つ渾身のツッコミだった。
キリカさんから離れていなければ、確実にあのストレートの前に沈み、いつかのように都合よく記憶を失ってしまっていただろう。
体勢を整え、呼吸を落ち着かせる。下心エンジンの回転数がみるみる落ちていくのを感じた。
キリカさんはその場にへたり込んでいる。どうやら完全に腰砕けになっているようで、しばらくは動けなさそうだ。
「……」
オルトさんは先ほど叫び声を上げしまったことを恥じているのかぐっと堪えて返事をしない。
そんな、俺たちの友情はこんなものだったのか。
なぜだ。何が気に食わなかったのか。
「同じ男なら俺の気持ちがわかるでしょう? 何故止めたんです!」
「……」
ギリギリと歯ぎしりをするけど、俺の問いかけには答えてはくれない――
「プッ、男だってよオルト……お・と・こ! ハハハハ! たまんねえな傑作だ! まあ、確かにあっちのバカと比べられたらごべらっ!」
「「「「レッドおおおおおおおおおおお!!」」」」
――代わりにオルトさんは隣にいた赤スーツが殴った。右の拳が顔面にめり込んでいた。
他色の人たちがレッドの名を呼び介抱している。ガックンガックン揺するのは介抱とはちょっと違う気がするけど。
「……ふーふー」
オルトさんは肩で息をしている。いったい何に対して憤っているのか検討もつかなかった。ただ、仮面の奥底には確かに怒りの感情があった。
「――まさか」
ビクッと動くオルトさん。
俺は何故気付かなかったんだろう。ヒントはたくさんあった。俺が勝手に頭の中で都合の良いように思い込んでいただけだ。いつもの悪い癖を反省する。
俺はとっくにオルトさんの正体に気づいていたんだ。
言わなければ。他のだれでもなく、俺自身が。
「オルトさん」
目の前のヒーローが、生唾を飲み込む。
「――――あなた、貧乳派なんですね」
「――――は?」
オルトさんは俺の名推理の前に固まった。やはり図星か。また俺の桃色の脳細胞が、また答えを導き出してしまったようだ。
「そういう特殊性癖を持った人が極少数いるのは知ってます。あなた方にとっては、育ち切った乳は快くはないのでしょう。俺も正直Cカップ以下の胸を見るのは耐え難いものがありました。唾棄すべきものだと考えていました」
かつて俺は差別的で、大変狭い見識しか持ち合わせていなかった。排他的だった。はっきり言って憎しみさえあった。
「しかし、それではいけないと俺は気づきました。醜い争いを生むだけです。そんな無益なことはないと俺は考えました。なぜなら、私達はおっぱいの前に平等だからです。乳神様の前では、同じ乳飲み子なのです」
俺は一回のスケベ高校生でありながら性職者であった。神の子らに教え諭す宣教師であった。
「そして、私は熟考の末一つの答えに至ったのです。そう『乳は皆、原初貧乳であり、すべて巨乳に至るべき』と。これは巨乳派の貧乳に対する価値観を変えるだけでなく、貧乳派の巨乳に対するそれをも変える思想なのです。想像してみましょう。ここにあるたわわに実った二つの果実も、かつては開花を待つ慎ましやかな蕾だったのです。オルトさん、どうですか? あの頃向けていた慈愛を少しだけでも向けられませんか?」
わなわなと震えるオルトさん。
そのマスクの裏では感涙を流しているに違いない。さあ、飛び込んでこい! 正義と悪の共闘の次は、巨乳派と貧乳派の和解だ!
「「ごべらっふ!」」
「ブルうううううううううう!!」
「ピンクううううううううう!!」
オルトさんは俺ではなくブルーとピンクの元へ飛び込んでいった。ドロップキックにしか見えなかったけど。二人まとめてなぎ倒していった。
残った二色が先に散った三色を介抱している。だから、ガックンガックン揺すったらダメだと思うよ。
「ゼーハーゼーハー」
オルトさんは我慢の限界と荒ぶっていた。いったいなにが彼をそこまでさせるのか。
騒動が収まったと思ったらもう一騒動である。まあ、先ほどまで騒いでいた人たちはほぼ壊滅状態なわけだけど。
「――待て、そういえば、もうさっきまでの争いは半ば強引だけど解決しているんじゃないか! オルトさん、そんなに仲間を痛めつけてはいけません! もう彼らもわかっているはずです! 穏便に行きましょう!」
オルトさんが頭を抱えて身悶えする。今にものた打ち回らんという勢いである。
むむ、なんとバイタリティ溢れる面白ムーブなのか。
「まあまあ。気にすんなって、それからあそこのバカも言ってただろ? 胸くらいこれからいくらでも成長するし、よしんば成長しなくても詰めとけば男なんていくらでもだまくらかせごべらひょぃ!」
まだ残っていたグリーンがオルトさんの肩を叩いた。帰らぬ人となった。コンマ二秒の間もなく手首を掴まれ空を舞うグリーン。あれ、手首ってそっちに曲がりましたっけ。緑の人は文字通りちぎって投げられていた。
「グリイイイイイイイイイン!! 学べええええええええ!!」
イエローが叫んだ。ちょっぴり泣きそうに見える。フルフェイスだから顔がわからないけど。
もうどうしようもないのか。我々は新たな敵を得てしまっただけなのか。そう諦めかけたその時、宙に浮く緑の人を追う途中、校庭の端の方から砂埃が上がっているのが視界に入った。何かがものすごい勢いでこちらに近づいているようだった。
「うらああああ!! 二日酔いのオカマ定食一丁!! お粗末さま!!」
我らが特急岡持ち娘、安須野ミサキ遅ればせながら推参である。自転車の加速そのまま、脇に抱えたモノをぶん投げる。その物体は戦隊ヒーロー唯一の生き残りイエローに当たった。ジャストミートだった。
「ごべらっふゅ!」とイエローは虚しく断末魔を上げる。
気づけば正義の味方たちは全滅していた。やったのはほとんど彼らの身内のオルトさんだが、おかげで騒動は収まった。これらは必要最低限の犠牲である。
当初の目標は、もっと穏便に済ませるはずだったけど、終わりよければ全て良しである。
ここは総統の右腕らしく高らかに宣言しよう。
「我ら悪の秘密結社Kがいる限り、この世に正義は栄えない!」
「バカじゃない」と正義の味方は、容赦なく俺の頭を叩いた。
***
戦隊ヒーローの面々を片付けている内に、時刻は既に正午を過ぎていた。
イベントも途中で中断してしまった。これから来る人たちもいるだろう。午前中の分を取り戻さなければならないだろう。
ようやく一息ついて俺は辺りを確認した。
遠巻きに観戦していた新仲見世サンバカーニバル商店街の皆さんはもう既に出来上がっているようだ。酒を取って来いとの命を受けた黒タイツスーツの皆さんもご相伴に預かっているらしく、ドンチャンドンチャン騒がしい。
警察組と子どもたちの姿は見えなかった。おそらく体育館の方に避難しているのではではないだろうか。地域における未来の市民を守らなきゃいけないからな。正しい選択だ。
「あっさり終わっちゃいましたね。ドンパチしてるのが見えて、先手必勝って思ったんですけど」
「ケンさんを手榴弾みたいに扱うんじゃない。そういう意味でケンさん呼んで来いって言ったわけじゃないからな俺は。ていうかおまえ、着ぐるみのままで行ったのか」
「急ぎでしたし。しかもこの下は下着だけなんで脱げません。服は事務所に置きっぱなしです!」
「そうか」
どうやったらそのモコモコしたきぐるみで自転車漕げるんだよという突っ込みは飲み込むことにした。
安須野がぐっと右手を突き出す。それにグータッチをする。
コイツのバイタリティなら大抵のことは出来るんだろうさ。
「そういえば安須野。紹介してなかったな。一緒にさっきの騒動を収めてくれた貧乳派ヒーローの……あれ、どこ行った」
オルトさんは風のように消えていた。
ぐっ、と俺は思わず感極まる。また、真のヒーローのあり方を見せつけられたような気がしたからだ。頭を叩かれたことなんて気にもならない。目の前に小悪党がいるんだ。ヒーローはああでなくちゃならない。
「オルトさん! また会いましょう!」
さらば正義の味方! 俺は再会の気持ちを込めて、オルトさんへ届けと声をはりあげる。
「そういえばキリカさんは何処に行ったんですか?」
「さあ、そこらへんに転がってない?」
「いえ……というかずいぶんテキトーですね、マモルさん」
何をおっしゃいますやら。ちょっとした賢者モードだよ。やることやったらベッドの上でタバコを吹かす、あれよ。『さっさとシャワー浴びて帰れよ』という俺のいつかは言いたいセリフランキング五位のやつだよ。
「おかしいな。さっきまでそこで借りてきた猫みたいになってたと思うんだけど、まさかちぎっては投げられたカラフル戦隊の下敷きになっているのでは!」
そう思ったが下敷きにもなっていない。
安須野もきょろきょろとあたりを見回す。むむ、姿形もないぞ。
が、結局探すまでもなく、向こうから存在を主張してくれた。
「がああああああああおおおおおおおおおおおお!!」
ダイナソーな叫び声が校庭に響いた。声の主の方を見ると、サンバカ商店街の集まるスペースに一升瓶を煽るキリカザウルスがいた。主食のアルコールを補給中である。オッサンたちは、止めもせずにやんややんやと囃し立てている。
「マモルさん。止めなくていいんですか」
「馬鹿野郎。あれをそんな簡単に止められると思うか!」
「マモルさんじゃ無理ですね」
ため息混じりに頭を振る仕草がムカつく。わかってるなら言うな。
「があああああオロオロロロオロロロロロロロオオオオ!!」
「おい、今すごいのが聞こえたぞ」
いつかの酸っぱい思い出が頭に過ぎる。
「マモルさん! キリカさんがアルマゲドンです!」
「それはまた、ずいぶん懐かしい響きだな」




