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正義か悪じゃ語れないっ!?  作者: 豚座34
■第一話「世界は斯くして戯画化されていく」
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-1-

 比呂川マモルはどこにでもいる高校一年生の男子だ。

 ただその光り輝く金髪を除けば。

 地毛ではない。生粋のジャパニーズである俺の地毛は黒である。突然変異でもない。

 事件が起きたのは三週間前のことだった。


「高校デビューにトライしよう」


 気まぐれなノリで、近所の慣れ親しんだ床屋ではなく、普段は行かない美容室に行き――そして案の定失敗した。


 個人的にはかなり気に入っていたのだが、両親からは笑われ、友達からは諭され、幼馴染からは酷評された。皆が皆、『似非ヤンキー』と笑った。

 釣られて俺も笑った。散々笑って、心の中でちょっぴり泣いた。

 それならそれで、黒に染め直せば良いだろうと、賢明なる読者諸賢は呆れるかもしれない。しかし、一度は『ナウでヤングな正義と悪を併せ持つ黄金の輝き。これよ、これ。めっちゃ強そう』と心躍った手前、そこから逃げてしまうのは潔さがないのだ。


 誰に対してでもない自分に対するプライドの問題で、テンションが上がった本当の自分を裏切れないのだ。そういうどうでも良い所で我を通すのが、俺の悪癖の一つだった。

 結局俺は光り輝く頭のままで、見事念願の高校デビューを果たしたのだった。

が、それは散々なものであったことは、改めて言うまでもないだろう。


 明らかに一人だけ浮かれきったバカがいる。そんな噂が瞬く間に学年に広まり、学校に拡散されて、職員室にまで轟き、もちろんそれは幼馴染の耳まで届いた。噂を聞いた幼馴染は大暴れした。


「マモルを馬鹿にしていいのは私だけだ!」


 とかなんとか。正直、それもどうかと思う。

 結局、その仲裁に入った俺まで巻き添えを喰らい、その事件以降もっと微妙な目で見られるようになってしまった。


 特に、異性から。


 悲しい現実だ。しかし、現実はいつだって哀しい。

 結局部活にも入り損ねたので、自然放課後は暇だった。だから、うら若き益荒男が、半値以下に成り下がった青春を炉にくべて、今日も今日とて趣味の炎を燃やすのだ。


 斯くして俺の青春スタートダッシュは、桜の花びらと一緒に儚く散ったのだった。

 本当、どこにでもいる、男子高校生のお話である。


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