表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ぷるぷるスライム転生  作者: 繰
転生!?
1/3

1 ぷるぷるしないよ。僕が転生するまで。

 僕は、人間だった。




 今の僕は、自分が何なのか分からない。

 目を覚ましたら、その目に飛び込んできたのは一面真っ白の空間。影も闇も鮮やかな色もない、完全な白の空間。

 そして、足元を見てみると……。爪先から鎖骨まで、すべてが見えない。指も、手足も、腹も、胸も、肩も……。すべてが、どうやって見ても見つからないのだ。


 あぁ、僕はいったいどうしてしまったのだろう!

 僕に口があれば、声帯があれば、僕は叫んでいただろう。そして、体があれば頭を抱えるか暴れるかしていたかもしれない。

 だが、残念なことに、僕には口も体もない。発狂しても暴れ狂うことも叫ぶこともできない!

 僕はどうなってしまったんだ! どうすればいいんだ! そもそも、ここはなんなんだ!



「おや、やっと目が覚めたようですね」


 どこからか、凛とした声と靴音が聞こえてくる。

 そういった音が聞こえてくるということは、ここに空気や床はあるのだろう。


「私はそちらにはいませんよ。いまは貴方の後ろにいます」



 そう言われて、慌てて振り向く。まぁ、振り向く体なんてないわけだが。


 振り向いてみれば、焦げ茶色の髪の若い男が立っている。

 綺麗な黒い目、スッと通った鼻筋。肩を少し過ぎたくらいの男にしては長い髪は、うなじ辺りで一本に結わえられている。

 白いシャツに黒いベスト、黒いズボン。そして、黒い革靴。そして、黒縁眼鏡をかけている。


ーー何、こいつ。


 発狂しそうだった僕の心は、一気に冷めていった。

 イケメンで眼鏡で長い髪で敬語って、漫画かアニメのキャラかよ。

 認めない。僕はこんなのがいることなんて認めない。


 そうやって現実逃避をしていると、男はほっとため息をついた。


「落ち着いたようですね。よかった……」


 男はほっと胸を撫で下ろし、僕を見据える。



「これで、やっと話ができる」


 男は空気椅子をして、僕を見る。

 いや、もしかしたらそこに座るところがあるのかもしれないけど、僕から見れば空気椅子だ。だって、見えないし。

 僕が笑いをこらえていると、男は眉をピクリと動かして僕を睨み付けた。

 どうして僕が笑いをこらえているのがわかったんだ。僕には体がないのに。


「とりあえず、転生する前にちょっとした説明をして起きましょうか」


 男は小さくため息をつきながら、ポケットからホイッスルを取り出す。

 そして、それを思いっきり吹き鳴らした。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ