7/47
*呑気に真剣
「!」
意識を戻したベリルは、すぐに今の状態を確認する。
「……」
口には猿ぐつわをはめられている、ハンカチだろうか? 両手は後ろ手に手錠、足もロープか何かで拘束されているようだ。
圧迫感と暗闇、この振動はトランクか。割とゆったりしている、3ナンバーの車かな? 音と振動からして60㎞以内の速度だろう……そこまで考えて体勢を整える。
まさか偶然のメールから自分とつながるとは思ってもいなかったが、退屈することはないかもしれない。
思わしくないものならば多少、暴れても問題ないだろう。
彼の『多少』は一般人の『多大』だ。好きにさせたらとんでもないことになる。しかし彼を止められる者は現在、ここには存在しない。
とはいえ、日本国という事を少しは考慮してくれるほどには常識人である。
「ふむ」
どこに向かっているのだろうか……目を閉じて今までの事を思い起こし、推測を重ねる。
柳田は自分の画像とデータを教祖に見せたと言った。
『あなたは普通の、人間ではないの?』
ナユタのメールが脳裏に浮かぶ。