*朝です
「おはよう!」
アユタが嬉しそうに階段を駆け下りて、キッチンに声を掛けた。しかし、母とベリルが一緒に料理している姿に眉をひそめる。
「おはよう」
「あら、おはよう。こんなに早起きなんて珍しいわねぇ」
応えた母親は、怪訝な表情を浮かべている息子に説明するように付け加える。
「ベリルさんが手伝ってくれるっていうから、お言葉に甘えちゃった」
「ちゃったって……」
可愛く言ってもおばさんなのに……という言葉は飲み込んで洗面所に向かう。
「おはよう~」
次にナユタが現れて、同じように目を丸くした。
「あらあら、みんな早起きねぇ~」
高校を卒業したナユタが朝8時に起きる事など珍しい、しかも今日はアユタも休みだ。
「これもベリルさんのおかげかしら?」
コロコロと笑って彼に視線を向けた。
「どうでしょうね」
ベリルはニコリと微笑む。
そんなリビングテーブルの上は、妙に上品だった──ケチャップベースで作られたソースの上には、形の良いスコッチエッグ。
コンソメスープにグリーンサラダ、極めつけはリンゴの飾り切りだ。
「……」
どう見てもこれは母の手際じゃない……と、2人は無言で目の前の料理を眺めた。
「今日は2人ともどうするの?」
朝食を食べながら会話する。
「もちろん、オレと姉ちゃんは兄ちゃんとお出かけだよ。ね」
「あ、うん……」
同意を求められてナユタは思わず頷いた。
彼と一緒にいたいのは事実だし、離れちゃいけない理由がある。
「あら、いいかしら?」
「構いません」
そう言って微笑むその顔がちょっと怖いとナユタは思った。あたしとアユタが母さんと家にいた方が、ガードさんたちが守ってくれるから彼は安心なんだよね。
でも、やっぱり一緒にいたい。
相変わらず上品に食べるなぁ……と、彼の様子を見つめる。
「姉ちゃん、早く食べなよ」
「あ、うん」
もそもそと食べ進める姉に、弟はやや呆れ気味だ。





