*なんとなく馴染んでいる風景
「いただきます」
「あっ……い、いただきます」
何も言わずに食べようとしたナユタたちだったが、両手を合わせて発したベリルに思わずつられる。
そして、ちゃんとお椀を持ち箸を使いこなしているベリルに3人は目を丸くした。
「あらまあ、うちの子よりも上手ねぇ」
母が感心してベリルを見やる。
「幼少の頃に習いました」
幼少っていつの話なんだろう……ナユタとアユタはふと考える。
上品に食べる様は女性2人を呆然とさせ、いつにも増して食の遅いナユタに弟は顔をしかめた。
姉ちゃん、完璧にベリルに見とれてるよ。ベリルは母さんがいるから妙な雰囲気だし、普段は敬語とか使わないんだろうな……と、半ば哀れに思った。
一同は食べ終わると、アユタはテレビに向かいゲームを起動させた。
「ね、これ出来る?」
リビングに促されたベリルに笑顔で問いかける。
品の良い絨毯が敷かれているリビングには、大きめのテーブルの前に40インチの液晶テレビが置かれていた。
「FPSか」
アユタは、テレビに映し出されているゲーム画面に連動しているガンコントローラを渡し、もう1つのガンコンで操作を進める。
一通りの操作を説明して協力プレイで始めた。
画面は縦に分かれており、左がアユタ右がベリルだ。ガンコンの引鉄を引くと音が鳴り、撃ったという合図の衝撃が少し伝わってくる。
「……」
後ろで見ていたナユタが、言葉も出せずにベリルの画面に見入った。
反動の無いガンコンではあるが、それでも様になっている。それでもってほぼ百発百中だ。
「うわ、スゴイスゴイ!」
アユタは嬉しそうに声を上げた。なかなか進めなかったエリアが、難なくクリア出来た嬉しさに鼻歌が交じる。
「視力はいくつ?」とアユタ。
「普段は3.0だ」
その応えに2人は吹きかけて、聞いた事もない数字に唖然となる。
「普段は……って、じゃあ他の時って何?」
「集中すれば5.0ほどだろう」
しれっと発するが、それがどういった視力なのか2人には皆目、見当がつきかねた。視力って意識して変えられるもんなの? という疑問もあったが、深く追求しないことにした。
「ベリルさん。お風呂に入って」
母親からの予想もしない言葉に、彼は目を丸くする。
「着替えはあるから。汚れてるでしょ?」
なんとなく母親の顔がニヤついているようにも見える。
「オレ一緒に入るー!」
アユタは嬉しそうに2階に駆け上り、自分の部屋から着替えを持ってきた。断れない状況に持って行ったアユタを一瞥し、ベリルは小さく溜息を漏らす。
「それではお言葉に甘えます」
言って立ち上がり、ナユタに視線を合わせた。
「アレを頼む」
「あ、うん」
もちろん試作品の事だ。
「風呂場こっち」
少年は嬉しそうに彼の手を取りバスルームに向かう。
なんとなく弟が羨ましくて、ナユタは口の中で舌打ちした。
脱衣場に入り、少年が服を脱ぎ捨てていく端からその服をベリルが拾い上げ、一つにまとめていく。
それから服を脱いでいくが、その様子をアユタがじっと見つめる。





