*走る緊張
「Arm Wear Weapon」
「え?」
「腕に装着する武器?」
あっさり聞き返す弟をナユタは見下ろした。
小学生のくせに……と、眉をひそめる。アユタは、パソコンで海外のFPSもプレイしているので英語には多少、詳しかったりするのだ。
FPSとは、「First Peraon Shooter」──ファーストパーソン・シューティングゲームといい、シューティングゲームの一種である。
主人公の視点でゲーム中の世界・空間を任意で移動でき、武器もしくは素手などを用いて戦うアクションゲームのことだ。
「……もっかい見せて」
アユタは武器が見たくて紙バッグをのぞき込むが、ベリルは見えないように脇腹と腕の間にバッグを置いて視線を外した。
「ケチ!」
「止めな……ごめんなさい」
ナユタは少年の肩を掴んでペコリと頭を下げる。
「腕に装着する武器ってどんな風に使うの?」
「詳しくは解らん。説明書きを読んだだけだからな」
懲りないアユタの質問に、彼は無表情に応えた。
「?」
説明書き? あ、弾の中に入ってた紙、あれのことなのかな? ナユタは、銃を交換した時の事を思い出した。
「ベンチの後ろに」
「え?」
「敵だ!」
ベリルは紙バッグをナユタに渡すと、近づいてきた数人の男たちに険しい表情を向けて立ち上がる。
2人は慌てて、言われたとおりにベンチの背もたれに回り体をかがめた。
暗いスーツを着た4人の男たちは、ベリルを威圧的に見下ろす。全員、日本人らしいがベリルよりもやや背が高い。
彼は外国の人間とはいえ、小柄なため見下ろされることはよくある。
「貴様の持っているモノ……渡してもらおう」
「理由は」
「知る必要はない」
くぐもった声でベリルを威嚇するように睨み付けるが、彼はさして動じずに4人を一瞥していった。
「勝てるのかな……」
相手はみんなベリルよりも大きくて強そう……ナユタはのぞき込み、心配そうに発する。
「なんだよ、ベリルを信じてないの?」
「そんなんじゃないけど」
アユタの言葉に少し震えた声で応えるが、どう譲っても見た目が上品過ぎて相手と比べると強そうには感じない。





