*取引
携帯を仕舞いながら小さく溜息を吐いたベリルを2人は見上げた。思案するように苦い表情を浮かべ、足を組む姿にナユタは溜息が出そうになる。
ベリルは数秒ほど宙を見つめたあと、ナユタたちに目を移す。
「どうやら最後まで付き合ってもらわねばならん」
「え?」
「ホント!?」
嬉しそうなアユタに眉をひそめベリルは続けた。
「間違って流れてきた試作品を狙っている者がいるらしい」
「そんなスゴイ試作品なの?」とアユタ。
「詳細を把握してのものではなかろう」
情報の漏洩は、試作品を送った工場でも大きな問題になっている。
今回は既製品のバージョンアップ版では無かったため、ミスをした新人も不問に処された。
狙われる事となったベリルには後日、謝罪も兼ねて次に購入する武器の割り引きを約束すると連絡が来たのだ。
「じゃあ俺たちにも何かあってもいいよね?」
「……」
ベリルは眉間のしわを深くし、ナユタは弟の意地悪い表情に目を丸くした。
「何か希望でもあるのか」
「ホンモノ触らせて」
「だめだ」
即答に少年はぷくっと頬を膨らませる。
「なに考えてるのよ、ばかアユタ!」
ナユタは慌てて少年の首根っこを掴んだ。
「だったら海外旅行につれてってよ」
突然の路線変更にナユタもベリルもキョトンとしたが、しばらく考えたベリルは少年を見つめて目を据わらせた。
「海外で持つつもりか」
「あれ、バレた」
アユタは銃刀法の届かない海外に行き、本物の武器を触るつもりなのだ。
「考えておく」
「やったぁ! あ、もちろん姉ちゃんも一緒だよ」
「!? あたしも!?」
ナユタは驚いて自分に人差し指を差した。
「姉ちゃんも海外旅行したいだろ」
「そりゃ……したいけど」
ベリルとまた会えると思うと嬉しいし、でも迷惑なんじゃ……。ハッ!? たった今が迷惑かけてるんじゃないあたしたち!
「?」
ガックリと落ち込む彼女に2人は怪訝な表情を浮かべた。
「でさ、その武器はなに?」
アユタは、ニコニコとベリルの紙バッグを見つめた。





