*余計なこと言わないで……
「ねね、今の中国人かな?」
「知らないわよ……」
「日本人だ」
2人に目を向けず応える。
「狙われてるのって日本人なの?」
アユタは首をかしげた。てっきり、海外の組織にだとばかり思っていたからだ。
「金で日本マフィアを雇ったといった処だろう」
「日本マフィアって……ヤクザ?」
じゃあさっきの人たちはヤクザさんなんだ……ナユタは、改めて少し怖くなった。
駅の改札で、ベリルは飾られている近辺の地図を見つめ、一分ほどしてまた歩き出した。降りた駅はナユタたちもあまり馴染みのない駅のため、彼が目指すものが何かさっぱり解らない。
町並みは自分たちの住んでいる住宅街とさして変わらない雰囲気だ。
「どこに行くんだろう」
アユタがぼそりとつぶやき、ナユタははぐれないようにと弟の手を掴んで彼の背中を追いかける。
10分ほどして、ベリルが公園に顔を向け足をそちらに進めた。
ベンチの前で立ち止まり、バックポケットから震えている携帯を取り出して通話を始める。
「!」
アユタは腰の辺りにチラリと見えたものに反応し、ナユタの袖をちょいとつまんで顔を向けさせた。
「なに?」
「今の見た? バックサイドホルスターだよ」
「バ……? なに?」
「銃を隠し持てるタイプのホルスター」
解らない彼女にアユタは半ば呆れて応え、嬉しそうに続ける。
「見てたら左脇もちょっと浮いてるでしょ。ショルダーホルスターも装着してるよきっと」
「あまり良い知識とは言えんな」
通話を終えたベリルがアユタを見下ろす。
「他にも武器持ってるの?」
「聞いてどうする」
「ねね、特殊部隊所属か何か?」
「傭兵なんだって」
ナユタは彼の機嫌を損ねないようにビクつきながら説明した。
「! へえ~」
アユタはさらに関心を示したようで、彼の周りをゆっくりと周りマジマジと見つめる。
「ちょ……っ!?」
もっと怖がるとかしないさいよ! 逆に興味を増したアユタに彼女はギョッとして首根っこを掴んだ。
「あ、そういえば姉ちゃん」
アユタはさして気にも留めずナユタを見上げ、少し口の端をつり上げた。
「オレの銃と間違えて流れてきたんだったら、初めに受け取ったモデルガンてホンモノだったんだね」
「え……」
その言葉にナユタは固まる。
「このUSPっていう銃はホンモノもプラスチック製なんだ」
「……え」
ハッ!? そういえば交換した銃にすぐに弾込めてた!? ナユタはそれに血の気が引いた。
「ホンモノ触れていいなぁ~」
「いいワケないでしょ! ばかアユタ!」
2人のやり取りにベリルは目を据わらせて呆れていた。





