*そのままの流れで攻撃
「へえ~、間違ってオレのモデルガンがあっちに行っちゃったんだ」
「うん。それでね、他の武器も回収してるんだって」
ナユタは電車の中で、事の次第をアユタに説明する。
「どんな武器?」
アユタは嬉しそうにベリルに顔を向けて問いかけた。
「……」
しかし、シートに腰掛けているベリルは足を組んでナユタ越しにのぞき込む少年を一瞥しただけで応えない。
「まだ怒ってんの? 大人げないなぁ」
薄笑いで言い放つ少年の方に目だけを向けて睨みを利かせるが、間にナユタがいるため睨まれる形になるのはナユタだ。
電話で素直に説明したあたしにも責任あるし……と彼女は少し縮こまる。
彼が怒っているのは自分のコトでじゃない、それはナユタにもなんとなく解っていた。
ベリルは、あたしたちを危険にさらすコトになるから、ホントは一緒につれて行きたくないんだよね。状況から見て一緒にいた方が安全だけど、守れなかった時のコトを考えるとやっぱり納得がいかないんだと思う。
「……ごめんさない」
ナユタは口の中で発した。
「ヒュ~! USP! かっけぇ~」
呑気にモデルガンをいじりながら口笛を吹くアユタを、ナユタはギロリと睨み付けた。もちろんアユタは意に介さず、スルーを決め込んでモデルガンをいじっている。
「……長い」
「え? そうだと思う」
ぼそりとつぶやいたベリルにナユタは思わず応えた。
確かに、この区間は他の駅の間よりも長くてジリジリする時間を過ごすのだが……彼女はベリルの瞳が険しい事に眉をひそめた。
それに、車内は珍しくいつもよりも客が少ない気がした。
そしてふと、彼が視線を移した先に目を向けると、後ろの車両に移ろうとしているのだろうか、数人の男が電車の揺れに合わせて動いている。
3人の前を通り過ぎようとした刹那──突然ベリルが立ち上がり、まず目の前の男に右膝を食らわせた。
「わお!」
アユタは素早い彼の動きに嬉しそうに声を上げる。
曲げた膝を今度は右に立っていた男に伸ばして蹴りを入れ、左から駆けてきた男に回し蹴りを喰らわせた。
見事にそれぞれの急所に入ったらしく、男たちは立ち上がれずに床に転がったままベリルを苦々しく見上げた。
服装はまちまちだが、顔つきは一様に厳つい。
電車が駅に到着し、待っていた客が中の状況に驚くが、そしらぬ顔で降りるベリルの後ろをナユタとアユタは追いかけた。





