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交点の烈~戦士の休息~  作者: 河野 る宇
◆第10章~ちゃっかりもの
25/47

*行動力

「モデルガン取りに行った時にベリルと会ってるならその近くじゃん」

 つぶやいて階段を駆け上がった。

 ランドセルをベッドに投げ置き、素早く服を着替える。そうしてセカンドポーチをたすき掛けし、勢いよく階段を駆け下りた。

「母さんオレも出かける~」

「遅くなっちゃだめよ」

 小豆色のカーゴパンツに半袖Tシャツ、その上からクリーム色のベストを合わせた恰好でスーニーカを履き玄関を出た。

「絶対に見つけてやる」

 アユタは鼻を鳴らして駅に向かった。


 一方ナユタは──ベリルが伝票を手にして立ち上がるのに続く。

 玄関そばのレジに立ち、カードケースから見たことも無いカードをマスターに差し出した。エメラルドグリーンのカードには、濃い緑のドラゴンがホログラフで描かれていた。

 一瞬、そのカードにマスターは目を見開いたが何事もなかったようにカードを返す。

「ありがとうございました」

 マスターの声を背にドアを開き、辺りを見回して駅の方に足を向けた彼の後を追う。

「あそこカード払いもいけるんだね」

「そうだ」

 その言葉に記憶をたぐりよせると、入り口にそういえば書かれていた……と思い出した。

「き、綺麗なカードだね」

 なんとか和ませようと声をかけるが、さして関心もないようで彼は無表情を崩さない。

 こういうのって落ち込むなぁ……ナユタは小さく溜息を吐いた。むやみにニコニコされるのもイヤだけど、いや、彼がニコニコしてたら上品さが無くなってどうかとも考えるけどさ。

 無口なのも上品な証拠よね。

「あら、ナユタじゃない」

「!」

 声の方を向くと、パンツにワンピースを合わせた姿の女性が立っていた。

「! 真奈美」

「どうしたの? 就活?」

「え、まあ……そんなところ。あ! 待ってよ!」

 真奈美と呼ばれた女性は、大きな声で誰かを呼び止めるナユタの先に目を移す。

「!?」

 振り返った男性に一瞬、息を呑んだ──そして、ナユタの後ろをふらりと追った。

「……」

 ベリルはナユタを見下ろし、真奈美を一瞥した。

「誰?」

「え? ええと……」

 訊かれて戸惑う。友達ではないし、彼氏なんて言ったら怒られそうだし──

「道を尋ねた」

 ベリルがぼそりと発すると、真奈美は「ああ……」と納得したようだ。しかし、ナユタは彼女の表情に少し苦い顔をした。

 ベリルから視線が外れない。なんだか大切なものを視姦されてるみたいで、ナユタは少し苛ついた。

 真奈美は、そんなベリルを見上げて呆然とした。

 なんてキレイなヒトなんだろう……金髪サラサラで瞳も宝石みたいだわ。こんなヒトも世の中にはいるのね、と思いつつ。

 でも、キレイ過ぎるわ……ここまでキレイだと返って自分には不釣り合いだって敬遠しちゃう。

「行くぞ」

「あ、うん。じゃあまたね」

「うん、またね」

 道を尋ねた人の方が偉そうに見えたのは私だけ……? 真奈美はあっけにとられながら手を振った。

「真奈美は高校の同級生なの」

 訊かれてもいないのに応えてしまい、ハッとする。少し考えれば想像のつく間柄に、ベリルが疑問に思うはずがなかった。

 そもそも、疑問すら抱いてくれたか解らない。ナユタは1人で凹んだ。

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