*嬉しいんだか怖いんだか
「あの……」
「なんだ」
険のない物言いで聞き返される。
「別の問題って?」
「知りたいのか」
「出来れば教えて欲しいんですけど」
つぶやくように発すると、彼は面倒そうな顔をして口を開いた。
「私が不死なのは知っているな」
「うん」
まだ信じられないけど。
「そんな人間がいればどうしたい」
「ああ……なるほど」
あたしと顔見知りだって気づいて人質にしようとしたのか……ナユタは、半笑いを浮かべて先ほどの男たちに呆れた。
「今は回収作業をせねばならん。相手をするのは後だ」
「まだあるの?」
「仲間が他の回収にあたっている」
新人に試作品の発送を何故任せたのか、いささか疑問だ……小さく発して、溜息を漏らす。
「試作品?」
小首をかしげる彼女を一瞥し、確認していたナイフを腰の背後に仕舞う。
「α版から送られてくる」
死なないからと無茶な物を送ってくる場合もある……と、何かを思い出して目を据わらせた。よほどの物が送られた経験があるようで、ナユタは「ご愁傷様」と心の中でつぶやいた。
「ここで1人落ち合う事になっている」
「! ああ、それで」
だからのんびりしてるのか……ナユタは納得して肩の力を抜いた。そうして、ベリルの横顔を再び見つめる。
出会えたコトは凄く嬉しい。
ずっと夢見て、会えないコトに落ち込んで、助けてくれたあの日から──あたしは会って話したコトもない彼の背中をずっと見つめていた。
こんな出会い方で、これからのコトを考えると怖いけど、嬉しい。
「ベリルはどこの軍人さん?」
「?」
時間つぶしに問いかけると、彼はとても変な顔をした。
「軍には所属していない」
「えっ!? そうなの?」
てっきり軍人だと思ってた……
「フリーの傭兵だ」
「傭兵って元々フリーじゃないの?」
「フリーの者は多くはない」
ほとんどの場合、傭兵を管理する会社に所属している。その方が面倒がなくていいからだ。
「何故、私が軍人だと思ったのだ」
「ずっと前に見た本に載ってたの」
「雑誌名は」
「覚えてない」
「そうか」
「あ、映ってたって言っても端っこにだよ」
どこかの軍人さんと談笑してる写真だった。
「いつのものだ」
「えと、数十年くらい前のだった」
そうか……ベリルはつぶやいて、憂いを帯びた目を伏せた。





