*やっぱりですか?
「はあ……」
道行く人々を眺めながら深い溜息を吐き出す。
やっと会えたけど、何を話していいか解らない……想いが強くて、何から話せばいいのか解らない。
「!」
そんなナユタの視界に、暗めのスーツとサングラスをかけた2人の男が歩み寄ってきた。怪訝に思いながら見ていると、自分を目指している事に気がつく。
壁のように立たれ、尻込みした。サングラスをしていても、日本人だということは解る。
「お嬢さん」
「はい?」
嫌な予感で背筋がゾクリとした刹那──視界の端から飛び出してきた影が、ナユタに掴みかかろうとした男の腹に肘鉄をかましていた。
「ぐはっ!?」
肘鉄をかました影は、男が腹を押さえてうずくまるのを視界に捉えてすかさずもう1人の男に回し蹴りを食らわせ、その流れのまま膝で腹を蹴り上げる。
「……」
うそ……ナユタは目の前の光景に、声も出せず小さく溜息を吐いたベリルを見つめた。険しい目を向けられてビクリとしたが、あごで歩けと促され隣に並んでついていく。
「あ、あの……?」
無言のベリルにそれ以上は口を開けず、しばらく追いかけるように背中を眺めた。ベリルは小さな公園に足を向け、そこにあるベンチに座れと目で示される。
なんとなく怒られているような気がして肩をすくめ、ベリルを見上げた。
彼は腕を組み、なんだか呆れたように見下ろしているが、こんなに近くで見るその姿にナユタは見惚れて溜息が漏れそうになった。
すらりと伸びた手足に、上品な物腰と雰囲気……軍人とはとても思えない。
「見せろ」
「え?」
突然に紡がれた言葉に首をかしげた。
キョトンとしているナユタに眉をひそめ、再び発する。
「店で渡されたものだ」
「! ああ……」
ナユタはようやく理解して、ショルダーバッグから紙袋を取り出した。
それを受け取ると、彼女の隣に腰を落とし紙袋の中にあるハンドガンを手にして確認するように見つめると弾倉を抜いた。
その中に、1発だけ銃弾が入っていた。それを抜いて、カートリッジをしばらく見回すと小さなナイフを出していじり始める。
「……?」
ナユタが不思議そうに見つめていたら、カートリッジが割れて中から小さな紙切れが出てきた。
彼はそれに目を通し、持っていたライターで火をつけ地面に落とす。そして、ナユタから渡されたモデルガンの代わりに自分のものを手渡した。
「え?」
「間違って流れてきた」
さっき店で言ってたのは、あたしの持ってたやつだったんだ……ていうかアユタのモデルガンだけど。
などと考えながら、手渡されたものを受け取った。





