*プロローグ
アメリカ合衆国──カリフォルニア州のとある小さな田舎町。
カリフォルニア州は多様な気候と地形に、多くの民族が住んでいる。面積のおよそ40%は森林であり、州の中央には生産性世界最大級の農業地帯『カリフォルニアセントラルヴァレー』がある。
そんな田舎町の酒場で、1人の青年がブランデーを傾けていた。名をベリル・レジデントという。
フリーの傭兵である彼はひと仕事終え、馴染みの酒場で気に入りの酒を飲んでいる最中だ。金髪のショートヘアにエメラルドの瞳、外見は25歳ほどだろうか。
ソフトデニムのジーンズに黒のインナースーツ、半袖前開きのシャツを合わせた格好をしている。
おおよそ傭兵には繋がらないイメージの整った容姿をしているが、さらに驚いたことに彼は外見通りの年ではない。
本来の外見通りの年齢だったのはいつ頃だったろうか? 彼が『不老不死』という信じがたい存在になって久しい……不死である事は、裏の世界のみに『公然の秘密』として広まっている。
そんな彼の携帯が着信の知らせを震えて知らせた。
[誰か助けて!]
ジーンズのバックポケットから携帯を取り出しメールボックスを開くと、それだけ記されていた。
「?」
登録していないアドレスに件名も無し。フォントは日本語だ。ベリルの携帯には基本的ないくつかの言語のフォントが入っているが、日本語とは珍しいと小さく唸る。