一字一句正確に当てられるとさすがにびっくりする
「レグナは恋人に”口きかない”と言われたらどうします?」
「俺?」
リアスとクリスティア宅からの帰り道。カリナと歩いていれば、唐突に妹は言った。
それで思いおこされるのは、つい昨日と今日のこと。
クリスがリアスに口を利かないと言って、リアスはその通りにし、色仕掛けで許してもらおうとしたらさらに怒られたという話。
結果的にちゃんと仲直りしたけれど。
その、ことの発端である”口を利かない”についてカリナは俺の場合を聞きたいらしい。歩きながら、一旦考えてみた。
もしも恋人に言われたら。
ここで「恋人いないけど」と言うのは的外れなのはわかっているから、そこは口をつぐんでおく。ただ今はどうしてもいないのも事実なので、過去の恋人――ハウラを思い出した。
もしも彼女に口を利かないと言われたら。言われたら。……。
「……様子を見るまでもなく話しかけてきそうなんだけど」
「ハウラ姉さまですか」
「ご名答」
二人で彼女のことを思い出し、少し薄暗い道をくすくす笑いながら歩いていく。そうして曲がり角のところまで来た時、またカリナは聞いてきた。
「では、色仕掛けで許されようとしたら?」
「えー?」
続いて今日のことを聞いてきたので、こちらもまた考えてみる。
ハウラが色仕掛けで許されようとしたら。
うわやりそう。めっちゃ自信持ってきそう。想像できた、もしかしたらあり得たかもしれない過去に笑って。逆に聞いてみる。
「どうすると思う?」
「あら」
自分に聞かれることは予想には入っていたんだろう。カリナはあまり考えることなく、にっこり笑い。
「とことんその色仕掛けに付き合って、向こうが参ったと言うまで微笑んでいそうです」
そう、いろんな意味でさすが妹と思うようなドンピシャな答えを言うから。
「俺クリスの気持ちわかるわぁ」
正解、というようにそう言って。そこに関しては理解できないというように「何故」と聞いてくるカリナを笑って流しながら。
別々になる道まで、二人、並んで帰り道を歩いていった。
『一字一句正確に当てられるとさすがにびっくりする』/レグナ




