第7話 AWAKING
「んで、何の用だ?」
俺は今俺の部屋にいる。何か知らないがあいつがここの方が都合がいいって言ってんだもん。
「・・・・・・・・」
「何も言わないつもりならこちらから言わせてもらう」
俺は一区切りして・・・・・・・・
「もう今後一切俺の前に出てくるな」
「分かっているわ。私はこれ以上あんたの前には姿を現さない」
なんだ、分かっているのか。ならそれでいい。
「悪いな。別にお前自身が嫌いなわけじゃないんだ。ただ俺いても意味はないし、俺は昔人を・・・」
「それよ・・・・・・・」
「は?」
「それが気に食わないって言ってんの!」
急に声を荒げるから驚いた。こいつこんな顔して怒るんだなと意味のわからない感想を抱きながら、俺は彼女の言った意味を理解できていなかった。
「どういう意味だよ・・・・」
「あんたのその自分で全て背負おうとする態度よ!!」
「全て背負うも何も俺が悪いんだ・・・・・あれは俺のせいで・・・・」
「そうやって責任を背負って、どうするの?あぁ、分かったわ。誰かに励ましてもらいたいのね。自分がすべて悪いと決め込んで、まるで被害者のように!」
こいつのセリフに俺は思わずカッとなった。
「ふざけんな!さっきから知ってるような口ききやがって!何も知らないお前に言われたくねぇんだよ!」
「確かにそうね。でも腹立たしいのよ。被害者面してるあんたが!!」
「くっ!この野郎!」
「その少女は別れ際あんたになんて言ったの!?」
「!!」
ルナが・・・・俺の一番目のヒロインが俺になんて言ったか・・・・・。そんなの忘れるわけがない。夢でもなんでもほぼ毎日のように出てくるからな。
「あなたを憎い、恨む。責任を全て背負えといったの?」
あいつはそんなことしなかった。そう最後まであいつは・・・・・・・・・・・。
『ありがとう・・・・・・さようなら・・・・・・・』
俺にお礼を言っていたんだ。何もしてやれなかった俺に、お礼を。自分の状態より俺への感謝の方を優先しやがったんだ・・・・・・・・。もう涙が止まらなかった。ただたんにあいつのことを思い出したからじゃない。それにさらに何かがプラスされてる。
「でも、だからこそ俺は彼女を忘れるわけにはいかない」
「責任を全て負うことが忘れないということなの?」
「・・・・・・・・・・」
「あなたはただ彼女の死を自分のせいにして、逆に彼女のことを忘れようとしてるのよ」
「そんなことはない!」
「でも思い出したい思い出ではないんでしょう?」
「!」
確かに俺の行動はおかしかった。彼女を忘れたくないはずなのに、俺は彼女を拒んでいたんだ。この俺の前に立つモーラと同じように・・・・・。夢に出てもいい思いをしない。それはすなわち彼女のことを・・・・・・彼女の死が辛いから目を背けようとしてるだけのこと。
「俺は・・・・・・何をやっていたんだろうな・・・・・・」
「いえ、おかしいことではないわ。辛い思い出からは目を背けたくなるものよ」
俺はもう少しで彼女の存在すら否定していたかもしれないな。
「はぁ・・・・・ほんとにバカだよ・・・・・・・俺」
流し始めた涙は止まらなかった。もういい、我慢なんて必要ないんだと心から訴えかけられてるかのように・・・・・・・・・。
「彼女はあなたに責任を負わすために死んだんじゃないのよ」
「あぁ・・・・・分かってるさ。俺は彼女の死を受け入れなければいけないんだな」
そう、きっと夢に出てきてるということは彼女の死を受け入れてなかったのだろう。真苗の仕草が彼女に似ていたと思ったのも全部そのせいだ。真苗は真苗なのにな。
「ありがとう。モーラ・ルーレト。あんたのおかげだ」
「私は何もしていないわ。あんたが勝手に自分で納得したのよ」
ツンと顔をそむけるモーラ。その仕草はとても可愛らしく、俺をなだめたものとは思えない、年相応の反応だった。
「じゃあ、私はこれで・・・・・・・じゃあね」
そういってモーラは光の中に消えていった。おそらく次元移動をしたんだろうな。
「ひどいぐらい大きな借りができちまったな・・・・・・」
俺は一人呟く。あいつは今も狙われ続けてるんだろうか。あんな野蛮な連中に・・・・。
「俺が考えても仕方ないな」
俺はベッドにもぐりこんだ。そのまま眠ってしまったらしい。その夜俺はあの夢を見ることはなかった。そのかわり俺が見たのは・・・・・・・・・。
〇
「まったくしつこいやつらね・・・・」
私、モーラ・ルーレトは狙われていた。もちろん、「異能」の使い手に。
「大人しくこっちに来い!」
「はっ!だれがあんな豚小屋に戻るもんですか!」
ほんとにしつこい。今は私は能力を使えない。特殊な制限をかけられていると言っておきましょう。こいつらの近くでは変な電磁波のせいで能力が上手く使えないのだ。
「ったく、能力使えなくしてもあいつ足はえーじゃねぇか!」
「私はあんたらと違って有能なのよ!」
とか言いつつも足がふらついてきた。ちょっとこのままじゃ・・・・・ヤバッ!私は転倒しそうになった。いや、転倒した。その隙を狙ってやつらが攻撃を・・・・・・
「『打』」
仕掛けてこなかった。かわりに目の前の敵が飛ばされているのが見える。
「まったくお前は何をやっているんだ。てれぽーととかいうやつを使えばいいだろう。マヌケめ」
その姿は私には主人公に見えた。いや、彼は今でも脇役願望なのだと思うのだけどね。
この話で第1章が完結しました!
次からは2章ってことです!もしかしたらその前に・・・。
今回のタイトルは目覚めです。
次は2章かどうかわかりませんがこれからもよろしくお願いします!
でわ